メキシコシティ国立自治大学UNAM|世界最大級の壁画都市とメキシコ壁画運動を歩く

メキシコシティの観光
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メキシコ・シティ南西部郊外に広がるUNAMは、
大学というより巨大な芸術都市のような場所でした。

キャンパス内には近代建築、巨大壁画、スタジアム、美術館が点在し、
歩くたびにメキシコ革命後の熱量が伝わってきます。

特に中央図書館のモザイク壁画は圧倒的で、無料で見られる世界遺産とは思えない迫力がありました。

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メキシコ国立自治大学(UNAM)の大学都市の中央キャンパス (Central University City Campus of the Universidad Nacional Autónoma de México)

2007年 ユネスコ世界文化遺産に登録。

登録名は「メキシコ国立自治大学(UNAM)の大学都市の中央キャンパス」です。
UNAMの中央キャンパスは、1949年から1952年にかけて建設された大規模な学園都市です。
60人以上の建築家、技術者、芸術家が関わり、近代建築とメキシコ独自の壁画芸術を一体化させた都市空間として造られました。

大学施設でありながら、中央図書館、大学本部棟、オリンピックスタジアム、博物館、美術館などが集まり、
キャンパス全体がひとつの文化遺産のようになっています。

世界遺産に選ばれた背景

UNAMが世界遺産に選ばれた大きな理由は、単に建物が美しいからではありません。
近代建築、都市計画、壁画芸術が一体となり、20世紀メキシコの文化的理想を形にしている点が高く評価されました。

特に中央図書館のモザイク壁画、大学本部棟、エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオなどは、
建築そのものが巨大なメッセージを持っています。

そこには、メキシコの歴史、自然、先住民文化、革命、科学、教育への思いが描かれています。
大学でありながら、国の記憶と未来像を表現した場所として評価された世界遺産です。

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歴史的背景

この巨大な壁画群を理解するには、メキシコ革命後の時代背景を知っておくと分かりやすいです。

メキシコ共和国では、1876年から続いたディアスの独裁政治に対し、
1910年に自由主義者マデロが革命を起こしました。

このメキシコ革命後、国民に新しい国家意識を伝える文化運動が盛んになります。

その中心のひとつが壁画運動でした。

リベラ、シケイロス、オロスコといった画家たちは、公共建造物の壁をキャンバスに見立て、
メキシコの歴史や自然、革命の意義、民族の自覚を描きました。

文字を読めない人にも伝わるように、壁画は大きく、力強く、誰もが見られる場所に描かれました。
UNAMを歩くと、壁画が単なる装飾ではなく、国民へ語りかける巨大な歴史の言葉だったことが伝わってきます。

メキシコ国立自治大学 (Universidad Nacional Autónoma de México)

住所:C.U., Coyoacán, 04510 Ciudad de México, CDMX

中央図書館壁画(National Central Library)

UNAMのシンボルともいえるのが、中央図書館壁画です。

フアン・オゴルマンによって1950年から1952年に制作されました。
4つの壁面すべてに巨大なモザイク画が描かれており、世界最大級の壁画作品として知られています。

北側にはアステカ文明、南側にはスペイン植民地時代、
東側には太陽と月、宇宙、科学、政治、西側にはUNAMの校章が描かれています。

遠くから見ると建物全体がひとつの巨大な絵のように見えます。

近づくと、細かな石の色や質感まで分かり、写真で見るよりもずっと迫力があります。
古代文明から近代国家までを一つの建物で表現している点が大きな見どころです。

大学科学美術館(Museo Universitario Ciencias y Artes) シケイロス作「民衆から大学へ、大学から民衆へ」(1952~1956)

1952年から1956年にかけて制作された作品で、巨大な手と鉛筆が強い存在感を放っています。
鉛筆を持つ指の部分が立体になっており、平面の壁画とは違う迫力があります。

手と鉛筆 シケイロス作

壁画には、メキシコでの重要な出来事の年代も記載されています。
1520年のアステカ帝国滅亡。
1810年のスペインからの独立戦争。
1857年の憲法制定。
1910年のメキシコ革命。

壁画を見ていると、美術作品というより、歴史を刻んだ巨大な掲示板のようにも感じます。

革命後のメキシコで、大学が民衆と社会へ向けてどのような役割を持とうとしていたのかが伝わる作品でした。

大学本部棟(administrative building of a university) 鷲とコンドル

大学本部棟も、UNAMの壁画群を語るうえで外せない建物です。

近代的な大学建築でありながら、ラテンアメリカを象徴するコンドルと、メキシコを象徴する鷲が描かれています。
このモチーフには、メキシコだけでなく、ラテンアメリカ全体の文化的なつながりを感じさせる力があります。

建物単体で見るよりも、広場、空、芝生、周囲の建築と合わせて眺めると、UNAMらしいスケール感がよく分かります。
キャンパス内は広く、建物同士にもゆとりがあります。
巨大壁画があっても圧迫感は少なく、むしろ空間全体に自然に溶け込んでいました。

観光地として整いすぎていないため、学生たちの日常の中に世界遺産があるような雰囲気が魅力です。

エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオ (Estadio Ciudad Universitaria)

住所:C.U., Coyoacán, 04510 Ciudad de México, CDMX

エスタディオ・オリンピコ・ウニベルシタリオは、1952年に完成したUNAMの巨大スタジアムです。
完成当時はメキシコ最大のスタジアムで、収容人数は63,186人とされています。

火山岩を活かした外観が特徴で、巨大なスポーツ施設でありながら、周囲の地形やキャンパスの景観に自然に溶け込んでいます。

見どころは、巨匠ディエゴ・リベラによる壁画です。
ラテンアメリカを象徴するコンドルと、メキシコを象徴する鷲が描かれています。
正面から見ると、スタジアムというより巨大な文化モニュメントのような迫力があります。

革命を契機にこのような作品が生み出されたことを考えると、壁画から伝わるエネルギーの強さにも納得できます。

巨匠の作品を無料で見られる場所としても、とてもおすすめです。

巨匠ディエゴ・リベラの壁画

ラテンアメリカを象徴するコンドルとメキシコを象徴する鷲を描いています。

アクセス

最寄り都市はメキシコシティです。
最寄り空港はメキシコシティ国際空港で、空港からUNAMまでは車で約40〜60分が目安です。

ただし、市内は渋滞が激しいため、時間には余裕を持つのがおすすめです。

公共交通機関では、地下鉄3号線のUniversidad駅が最寄りになります。
駅からキャンパス内までは広く、徒歩だけで回るとかなり距離があります。

学内を走るPumabúsを組み合わせると、中央図書館やスタジアム方面へ移動しやすくなります。

コヨアカン観光やメキシコシティ歴史地区と合わせる場合は、配車アプリを使うと動きやすいです。

UNAMで感じたメキシコ近代の迫力

UNAMは、ただ壁画を見る場所ではありませんでした。

革命後のメキシコが、自分たちの歴史、民族意識、
教育への希望を建築と芸術で表現した巨大な空間でした。

中央図書館のモザイク壁画、シケイロスの力強い手、リベラのコンドルと鷲。

それぞれの作品が別々に存在しながら、キャンパス全体でひとつの物語を作っているように感じます。

メキシコシティで古代遺跡や植民地建築を巡ったあとにUNAMへ行くと、
メキシコの近代文化が一気につながって見えてきます。

無料で歩ける場所でありながら、歴史、革命、芸術、建築をまとめて体感できる、
とても密度の濃い世界遺産でした。


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