ジャワ王朝文化が今も残る「クラトン(水の王宮)」を歩く
ジャワ島中部に位置する古都ジョグジャカルタ。
インドネシア屈指の世界遺産であるボロブドゥール寺院やプランバナン寺院への玄関口として知られていますが、
この街最大の特徴は、現在も王侯文化が生き続けていることにあります。
その中心的存在が、今回紹介する「クラトン(Kraton)」です。
ここは単なる歴史遺産ではなく、
現在もスルタン(王)が実際に暮らしている現役の王宮。
さらに近くには、王族の離宮として造られた「タマン・サリ(水の王宮)」も残されており、
ジョグジャカルタ独特のジャワ宮廷文化を体感できるエリアとなっています。
実際に歩いてみると、
イスラム文化、ジャワ伝統文化、オランダ植民地時代、ヨーロッパ様式など、
さまざまな文化が混ざり合った独特の空気感があり、
インドネシアの中でもかなり印象に残る歴史地区でした。
クラトン(王宮)(Kraton)
住所:Jl. Kemitbumen No.28/13, Panembahan, Kecamatan Kraton, Kota Yogyakarta, Daerah Istimewa Yogyakarta 55131 インドネシア
| 時間 | 日~木:8:30~12:30 金・土:8:30~11:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 15000ルピア |
*帽子着用やタンクトップでの入場不可。
1756年に建設されたジョグジャカルタ王宮は、
現在も「スリ・スルタン・ハメンクブウォノ10世(Sri Sultan Hamengkubuwono X)」が暮らしている現役の王宮です。
ジョグジャカルタ特別州は、現在のインドネシア共和国の中でも特殊な自治制度を持っており、
スルタン家が今も政治・文化の両面で大きな役割を持っています。
そのため、このクラトンは単なる観光施設ではなく、
今なお“生きた王宮”として機能している点が大きな特徴です。
王宮内部の一部は博物館として公開されており、
歴代スルタンの肖像画、家具調度品、衣装、儀式道具などを見ることができます。
また、王宮エリアは南北に分かれており、観光客が主に見学するのは南側エリア。
こちらには博物館や伝統芸能スペースがあり、
時間帯によってはジャワ伝統舞踊やガムラン演奏が行われています。
ガムラン音楽が流れる王宮空間
王宮内では、
独特の金属音がゆっくりと響くガムラン音楽が演奏されていました。
ガムランとは、
銅鑼(ゴング)や鍵盤打楽器などを組み合わせた、
インドネシア伝統の民族音楽の総称です。
テンポは比較的ゆったりとしており、
反響する金属音が王宮建築の開放空間に広がることで、
非常に神秘的な雰囲気を作り出しています。
実際に座って音を聞いていると、単なるBGMというより、
宮廷文化そのものを体験しているような感覚に近い空間でした。



金の王座のパビリオン(Bangsal Kencono)
クラトン内部でも特に印象的だったのが、
「Bangsal Kencono(バンサル・クンチョノ)」と呼ばれる黄金のパビリオンです。
天井には巨大なシャンデリアやステンドグラスが吊り下げられており、
さらに内部には金色の蓮の装飾が施されています。
一方で、建築構造自体はジャワ伝統様式。
つまりここでは、
ジャワ文化とヨーロッパ文化が混ざり合った独特の宮廷建築を見ることができます。
19世紀以降、オランダ統治時代の影響を受けながらも、
ジャワ王朝文化を維持し続けた歴史が、そのまま建築空間に現れているようでした。
現在でも、重要儀式や宮廷行事に使われることがあるそうです。


博物館内部には、歴代スルタンの使った品物や肖像画などを見ることができます。


タマン・サリ(Taman Sari)
住所:Wisata Taman Sari Jalan Tamanan, Patehan, Kecamatan Kraton, Kota Yogyakarta, Daerah Istimewa Yogyakarta 55133 インドネシア
| 時間 | 9:00~15:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 15,000ルピー *カメラ持ち込み+3,000ルピー |
※カメラ持ち込み追加料金が必要な場合あり。
※料金や営業時間は変更される場合があります。
クラトンから徒歩圏内にある「タマン・サリ」は、
1765年頃に建設されたスルタン家の離宮です。
別名「水の王宮(Water Castle)」とも呼ばれています。
かつては人工池や水路が張り巡らされ、
水上宮殿のような構造を持っていたといわれていますが、
現在は一部のみが残されています。
それでも、白壁と水浴場が並ぶ空間には独特の静けさがあり、
ジョグジャカルタでも特に人気の高い歴史スポットとなっています。
王族専用の水浴場
タマン・サリ内部で特に有名なのが、王族専用の水浴場エリアです。
中央には大きなプールがあり、
周囲には見張り台のような高台が設置されています。
伝承によると、スルタンは高台から水浴びをする女性たちを眺め、
気に入った女性に花を投げたとも言われています。
現在では観光名所となっていますが、
もともとは王侯文化の非常に私的な空間だったことが感じられます。
また、地下構造には冷却用の水路があったとも言われており、
熱帯気候の中で快適に過ごすための工夫も見られます。




これが、スルタンが眺めていた風景です。
現在は壁面に落書きも多く見られ、保存状態の変化も感じられました。

下の写真がスルタンの寝室です。
ここで夜を共にしていたそうです。
ちなみに、ベッドの下の隙間からウィノンゴ川から引いた水を流し涼をとったと言われています。

この周辺には、王宮に仕えていた女性達が過ごしたとされる空間も残されています。

タマンサリには、それ以外にもいくつかの建物があります。

地下通路と宗教空間
タマン・サリには、複雑な地下通路網が残されています。
かつては総延長5km近くあったとも言われ、
有事の際の避難路や秘密通路として利用されたという説があります。
内部は迷路のような構造になっており、
実際に歩いてみると、王宮建築というより地下要塞のような印象も受けました。
また、地下空間には礼拝室や湧水施設もあり、
イスラム文化とジャワ信仰が融合した宗教空間としての役割も持っていたようです。
さらに、南海の女神「ニャイ・ロロ・キドゥル」と王家を結びつける伝説も残されており、
タマン・サリは単なる離宮ではなく、
精神世界とも深く結びついた場所だったことが分かります。



アクセス
ジョグジャカルタの玄関口は、
「ジョグジャカルタ国際空港(YIA)」です。
空港から市内中心部までは約40kmほど離れており、
空港鉄道を利用すると比較的スムーズに移動できます。
王宮周辺までは、
ジョグジャカルタ駅からGrabやGojekを利用して10〜15分前後。
タマン・サリまでは、クラトンから徒歩でもアクセス可能です。
また、ジョグジャカルタ市内は比較的コンパクトなため、
王宮・マリオボロ通り・水の王宮をまとめて観光する人も多く見られました。
ボロブドゥール寺院やプランバナン寺院観光と組み合わせる場合は、
現地ツアーを利用すると効率よく回りやすいです。
インドネシア・ジャワ島には、世界遺産も数多く存在しています。
ボロブドゥール寺院については、こちらで詳しく紹介しています。
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/indonesia/jawa-sightseeing/borobudur/
プランバナン寺院については、こちらで詳しく紹介しています。
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/indonesia/jawa-sightseeing/prambanan/
ジャワ王朝文化が今も残る場所
ジョグジャカルタのクラトンとタマン・サリは、
単なる歴史観光地ではありませんでした。
そこには、
現在も続く王朝文化、
イスラム文化、
ジャワ伝統文化、
植民地時代の歴史が複雑に重なり合っています。
特に印象的だったのは、「過去の遺跡」ではなく、
今も実際に機能している王宮文化として街に溶け込んでいる点でした。
ボロブドゥールやプランバナンの巨大遺跡とはまた違う、
生きているジャワ文化を感じられる場所。
ジョグジャカルタを訪れるなら、世界遺産だけでなく、
この王宮エリアもぜひ歩いてみてほしい場所のひとつです。
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