斎場御嶽を訪れたなら、ぜひ足を延ばしたいのが久高島です。
久高島は、沖縄本島南部の安座真港から船で
約15〜25分の場所に浮かぶ小さな島で、「神の島」と呼ばれています。
琉球開闢神話では、祖神アマミキヨが最初に天から降り立った島と伝えられ、
ここから沖縄の歴史が始まったとされています。
現在でも数多くの祭祀が受け継がれており、
島内には立ち入りが制限されている聖域も少なくありません。
琉球王国時代には、聞得大君をはじめとする神女たちが国家祭祀を執り行う際、
久高島と斎場御嶽は一体となった聖地として大切にされてきました。
そのため、久高島を訪れるなら、あわせて世界遺産「斎場御嶽」を巡ることで、
琉球王国の信仰文化をより深く理解できます。
▶ 斎場御嶽観光ガイド|琉球王国最高の聖地を歩く

観光地であると同時に、人々の信仰が今も息づく場所だからこそ、
島のルールやマナーを守り、静かな気持ちで散策することが大切です。
久高島への行き方
ここでは、那覇市内からバスを利用して久高島へ行く方法を紹介します。
那覇バスターミナルから出発します。

那覇バスターミナルで、バスのりば7で、東陽バス338番斎場御嶽線があります。
*東陽バス38番志喜線もありますが、メインは、斎場御嶽線になります。

| 338番斎場御嶽線・那覇バスターミナル7番乗り場発、時刻表 那覇バスターミナルからあざまサンサンビーチ入口バス停までの乗車料金:790円 |
|||
| 那覇バスターミナル発 |
あざまサンサンビーチ入口バス停着 | 那覇バスターミナル発 |
あざまサンサンビーチ入口バス停着 |
| 平日 | 土日祝日 |
||
| 07:30 | 08:24 | 08:00 | 08:50 |
| 09:30 | 10:20 | 09:28 | 10:21 |
| 11:13 | 12:02 | 11:15 | 12:06 |
| 13:22 | 14:11 | 13:27 | 14:18 |
| 15:10 | 16:02 | ||
| 16:10 | 17:05 | ||
所要時間は、だいたい1時間程度で、「知念安座真サンサンビーチ入り口」に到着します。
そこから港方面を5分程度歩いて行くと、定期船切符売り場が見えてきます。

安座間港~久高島港のフェリーは、下記になります。
| 便 | 船名 | 安座間発(久高行き) | 船名 | 久高発(安座間行き) |
| 1 | フェリー | 8:00 | 高速船 | 8:30 |
| 2 | 高速船 | 9:30 | フェリー | 10:00 |
| 3 | フェリー | 11:00 | 高速船 | 12:00 |
| 4 | 高速船 | 13:00 | フェリー | 14:00 |
| 5 | フェリー | 15:00 | 高速船 | 16:00 |
| 6 | 高速船 | 17:30(4/1~9/30)(夏) | フェリー | 17:00 |
| 7 | 17:00(10/1~3/31)(冬) |
| 運賃 | 高速船ニューくだかⅢ | フェリーくだかⅢ | ||
| 大人 | 小人 | 大人 | 小人 | |
| 往復 | 1,480円 | 750円 | 1,300円 | 650円 |
| 片道 | 770円 | 390円 | 680円 | 340円 |
船着き乗り場です。

久高島観光のポイント
久高島は一周約8kmほどの小さな島です。
徒歩でも散策できますが、
限られた滞在時間で効率よく巡るならレンタサイクルがおすすめです。
徳仁港周辺には複数のレンタサイクル店があり、1時間から1日まで利用できます。
レンタサイクル料金(目安)
- 1時間:300円
- 2時間:600円
- 3時間:900円
- 1日:約1,000円
私は約2時間で主要スポットを一通り巡りましたが、写真を撮りながら歩くと半日はあっという間です。
島には神聖な場所が数多くあり、立入禁止区域もあります。
また、観光スポット周辺にはトイレがほとんどありません。
港周辺で済ませてから出発すると安心です。

カーベル岬(ハビャーン)
島の北東部に位置するカーベル岬は、久高島でも特に神聖な場所の一つです。
壬(みずのえ)の日には神様が馬に乗って島を巡視すると伝えられており、
現在でも島の祭祀と深く関わっています。
岬周辺にはクバの林が広がり、その先には美しい海が広がっています。
アマミキヨが最初に降り立った場所の一つとも伝えられており、
旧暦1月には豊漁や五穀豊穣を願う祭りも執り行われます。
植物群は国の天然記念物にも指定されています。
私が訪れた日は天気にも恵まれ、
海は「久高ブルー」と呼びたくなるほど透き通っていました。
観光地らしい派手さはありませんが、島の神聖な雰囲気を最も感じられる場所の一つです。



イシキ浜(Ishiki Beach)
イシキ浜は、沖縄に五穀が伝わったという伝説が残る浜です。
昔、人々は木の実や貝を中心に暮らしていました。
ある日、白樽夫婦がこの浜で五穀豊穣と子孫繁栄を祈っていると、
黄金の壺が海から流れ着いたと伝えられています。
最初は壺を手にすることができませんでしたが、
ヤグルガーで身を清めて白衣に着替えた後に再び浜へ戻ると、
不思議なことに壺は容易に拾うことができました。
その壺の中には麦や粟など七種類の種子が入っており、
それが沖縄各地へ広まったとされています。
現在は静かな砂浜が広がるだけですが、
こうした伝説を知って歩くと、景色の見え方も変わってきます。


フボー御嶽
フボー御嶽は、沖縄七御嶽の一つに数えられる最高位の聖地です。
神女が祭祀を行う時以外は立ち入ることが許されず、
草木一本持ち出してはいけないとされてきました。
奥には円形広場があり、
イザイホーやフバワクなど久高島を代表する祭祀が行われてきました。
現在も立入禁止となっており、外から静かに見守ることしかできません。
観光地というより、現在も信仰が続いている神域であることを実感できる場所です。


ヤグルガー
ヤグルガーは、ティミグスクとフボー御嶽の間にある井泉です。
イシキ浜で黄金の壺を拾う前に、
白樽夫婦が身を清めた場所として知られています。

現在は修復された石段を下りることができ、
岩陰に湧く神聖な井戸を見ることができます。

井戸の前には柄杓が置かれており、
神事に使われる御水の存在を身近に感じられます。
今でも神女が禊に利用する神聖な場所であるため、
見学の際は静かに行動するよう心掛けましょう。

大里家(Osato Family Residence)
大里家は、久高島に残る旧家の一つで、
島内でも最も古い建物の一つと伝えられています。
この家には、久高島の成り立ちや琉球王国の歴史に関わる二つの重要な伝説が語り継がれています。
五穀発祥の伝説
一つ目は、「五穀発祥の伝説」です。
イシキ浜に流れ着いた黄金の壺を持ち帰ったのは、
大里家の始祖であるシマリバー(女性)とアカツミー(男性)夫妻だったと伝えられています。
壺の中には麦や粟など七種類の種子が入っており、
それが沖縄各地へ広まったことで、人々は農耕を営むようになったとされています。
一方、久高殿では黄金の壺を持ち帰ったのは白樽夫婦であったという伝承も残されており、
「自分たちこそ久高島の始祖である」という言い伝えが現在まで受け継がれています。
同じ出来事でも異なる伝承が残されていることは、久高島の歴史や信仰の奥深さを感じさせます。
尚徳王の伝承
もう一つは、第一尚氏王統第7代・尚徳王にまつわる伝承です。
鬼界島遠征を終えた尚徳王は、戦勝報告のため久高島を訪れた際、
大里家の娘であるクニチャサ祝女と恋に落ち、しばらくこの地で共に暮らしたと伝えられています。
しかし、その間に首里城では政変が起こり、第二尚氏王朝を開いた尚円王が即位しました。
ようやく帰路についた尚徳王は、
内間高びし付近で漁師から王朝交代を知らされ、自ら海へ身を投げたと伝えられています。
その悲報を聞いたクニチャサも深く悲しみ、
大里家の前にあるガジュマルの木で後を追ったと語り継がれています。
史実とは区別して考える必要がありますが、
この伝承は現在でも久高島に残る代表的な言い伝えの一つとして大切に受け継がれています。




久高殿(御殿庭)
久高殿(くだかどぅん)は、久高島を代表する祭祀場であり、外間殿と並ぶ島の中心的な聖地です。
古くから、百名白樽(ひゃくなしらたる)とその娘・多留加那(たるかな)が天神地祇を祀り、
島の繁栄を祈願した場所と伝えられています。
久高祝女(くだかのろ)と久高根人(くだかにっちゅ)が祭主を務め、
建物の前に広がる広場も含めて、久高島で最も重要な祭祀が行われる神聖な空間となっています。
特に有名なのが「イザイホー」です。
イザイホーとは、12年に一度、午(うま)年に行われていた神女就任の儀式で、
久高島で生まれ育った30歳以上の既婚女性が神女となるための神聖な祭りでした。
この祭りでは、新たな神女が島の神々へ仕え、
人々の健康や五穀豊穣、大漁などを祈願する役割を担います。
しかし、神女となる対象者の減少などを理由に、
1978年を最後に実施されておらず、現在では国の重要無形民俗文化財としてその記録や伝承が受け継がれています。
この場所ではイザイホーだけでなく、収穫祭、大漁祭、お祓い、
健康祈願など、一年を通じてさまざまな祭祀が執り行われてきました。
境内には、左から海蛇(イラブー)の燻製小屋、神アシャギ、白樽宮が並んでいます。
海蛇は古くから久高島の重要な食文化の一つであり、
燻製に加工されて祭祀や貴重な保存食として利用されてきました。
神アシャギとは、神を迎えて祭祀を行う建物であり、
沖縄各地でも見ることができますが、
久高島では現在も神事に使用される重要な施設です。
その奥に広がる森は「イザイヤマ」と呼ばれる神域で、
一切立ち入りが禁止されています。
現在も島の人々が大切に守り続けている聖域であるため、
見学の際は立入禁止区域へ入らないよう十分注意しましょう。

下の神アシャギとは神を招き祭祀を行うお座敷のことです。

外間殿(Hokama-den)
外間殿は、久高殿と並ぶ久高島の二大祭祀場の一つです。
ここには、天頭神(天の神の総帥)、玉礼乃神(太陽神)、松乃美神(月の神)、
ニレー大主神(竜宮神)、アマミキヨ神(国造りの神)、百畑地方照乃神(植物の神)、
梁万神(健康の神)など、多くの神々が祀られています。
さらに、久高島の祖先とされる百名白樽の時代から受け継がれてきた守護神も祀られており、
島の信仰の中心として現在まで大切に守られてきました。
久高殿と外間殿は、それぞれ異なる祭祀を担いながら、
久高島の精神文化を支える重要な役割を果たしています。
外間殿の隣には、西威王が生まれたと伝えられるアサギ家も残されており、
歴史的にも重要な場所となっています。
現在も祭祀が続けられているため、静かに見学することを心掛けましょう。


ハンチャタイ
ハンチャタイは、「神の畑」という意味を持つ場所で、
久高島の中心と考えられている神聖な場所です。
角に置かれた石は「天の門」と呼ばれ、
天と地を結ぶ場所とされています。
一見すると素朴な場所ですが、島の人々にとっては特別な意味を持つ聖地であり、
久高島ならではの信仰文化を感じることができます。

ユクミヤー
ユクミとは「横目」を意味し、
琉球王国時代には周囲を監視する役人がここにいたと伝えられています。
現在は静かな場所ですが、かつては島を見守る重要な役割を担っていたと考えられています。

スルバン
スルバンは、かつて船長たちが暮らしていた家です。
海上交易によって発展した琉球王国にとって、航海技術は非常に重要でした。
そのため、船乗りたちは島の暮らしを支える大切な存在でもありました。

ハタス
ハタスは、イシキ浜へ流れ着いた黄金の壺に入っていた五穀の種子のうち、
最初に麦が蒔かれた場所と伝えられています。
壺もこの場所へ埋められたという言い伝えが残っており、
久高島では農耕発祥の地の一つとして語り継がれています。
現在はのどかな畑が広がっていますが、沖縄の食文化を支えた始まりの地ともいえる場所です。


ウッチ―小
ウッチー小は、琉球開闢神話に登場する祖神アマミキヨが、
久高島を創った際に最初に腰を掛けた石と伝えられています。
小さな石ですが、久高島では非常に神聖な場所として大切に守られています。

君泊・大君口
君泊は、琉球王国時代に聞得大君や国王が久高島を訪れた際に使用した港です。
そこから集落へ向かう入口は「大君口」と呼ばれ、
国家祭祀のために島を訪れた人々が歩いた道でもありました。
現在は静かな港ですが、かつて王国最高位の祭祀が行われていたことを思うと、歴史の重みを感じられる場所です。


久高島休憩所・ロマンスロード東屋
島内には休憩できる東屋も整備されています。
木陰で海風を感じながらゆっくり休憩すると、
時間がゆっくり流れる久高島らしい雰囲気を味わえます。



徳仁港(Tokuni Port)
徳仁港は、久高島観光の玄関口です。
フェリーや高速船が発着し、レンタサイクル店や売店も港周辺に集まっています。
帰りの船の時間を確認しながら、余裕を持って港へ戻るようにしましょう。


アクセス
斎場御嶽
- 那覇空港から車で約50〜60分
- 那覇バスターミナルから東陽バス338番「斎場御嶽線」で約1時間、「知念安座真サンサンビーチ入口」下車、徒歩約10分
久高島
- 安座真港から高速船約15分、フェリー約25分
- 島内観光はレンタサイクル利用がおすすめ
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▶ 世界遺産一覧(アジア・オセアニア)

旅の終わりに
沖縄には、美しい海や南国リゾートだけではない、もう一つの大きな魅力があります。
それが、琉球王国から受け継がれてきた独自の歴史と信仰です。
斎場御嶽では、自然そのものを神として崇める琉球の精神文化に触れ、
久高島では今なお受け継がれる祈りの風景を体感することができます。
どちらも派手な観光施設ではありません。
だからこそ、巨岩や森、海、そして島全体に流れる静かな空気の中で、
沖縄の人々が大切に守り続けてきた文化や歴史をより身近に感じられるはずです。
首里城や玉陵などの世界遺産とあわせて訪れることで、
琉球王国が築き上げた「政治」と「信仰」の両面をより深く理解できるでしょう。
沖縄の歴史や文化に触れる旅を計画しているなら、
ぜひ斎場御嶽と久高島まで足を延ばし、琉球王国最高の聖地が持つ特別な空気を体感してみてください。


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