カンボジアには、世界的に知られる二大仏教遺跡があります。
ひとつは、壮大なヒンドゥー教寺院 アンコール・ワット。
そしてもうひとつが、巨大な城郭都市 アンコール・トム です。
アンコール・トムは、単なる寺院ではありません。
王都・宗教都市・宇宙観を具現化した国家プロジェクト――
その中心に鎮座するのが、バイヨン寺院です。
なお、アンコール・ワットを含むアンコール遺跡群全体の構成については、
▶︎ アンコール・ワット完全ガイド 世界遺産アンコール遺跡群の中心寺院
で詳しく紹介しています。
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/cambodia/siem-reap-sightseening/angkor-wat/
本記事では、
「なぜアンコール・トムは造られたのか」「何を見るべきか」「アンコール・ワットとの違い」
を軸に、実際の見学順に沿って詳しく解説します。
アンコール・トムとは?【アンコール・ワットとの違い】
アンコール・トムは、12世紀末、ジャヤヴァルマン7世によって築かれた巨大な城壁都市です。
歴史的背景(要点)
- 1177年:ベトナム系 チャンパ軍 がアンコール地域を一時占領
- その後、ジャヤヴァルマン7世が奪還
- 奪還後、仏教国家として再編
- 王都を囲む城壁都市「アンコール・トム」を建設
アンコール・ワットが「ヒンドゥー教 × 王の神格化」であるのに対し、
アンコール・トムは「仏教 × 民衆救済 × 国家運営」を体現した都市です。
アンコール遺跡 (Angkor)
1992年/2004年 ユネスコ文化遺産に登録
カンボジアの北西部、トンレサップ湖北岸のシェムリアップの北側に位置するクメール王朝時代の遺跡群である。
1992年ユネスコの世界危機遺産に登録され、遺跡を中心とし修復に努めてきたが、第二段階として
2004年世界文化遺産に登録されました。
アンコール遺跡の対象となるものは下記になります。
【メインエリア】
- アンコール・トム : 仏教寺院
- バイヨン : 仏教寺院
- 象のテラス : 仏教寺院
- ライ王のテラス :仏教寺院
- ピミアナカス : ヒンドゥー教寺院
- プラサット・スゥル・プラット : 仏教寺院
- クリアン : ヒンドゥー教寺院
- バプーオン : ヒンドゥー教、15世紀以降仏教寺院
- プリア・パリライ :仏教寺院
- プリア・ピトゥ : ヒンドゥー教寺院
- アンコール・ワット : ヒンドゥー教寺院
- プノン・バケン : ヒンドゥー教寺院
- プラサット・バイ : ヒンドゥー教寺院
- バクセイ・チャムクロン :ヒンドゥー教寺院
- トマノン :ヒンドゥー教寺院
- チャウ・サイ・テヴォーダ :ヒンドゥー教寺院
▶︎ バプーオン寺院の詳細はこちら
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/cambodia/siem-reap-sightseening/baphuon/
【東部エリア】
- プレ・ループ : ヒンドゥー教寺院
- タ・ケウ : ヒンドゥー教寺院
- バンテアイ・サムレ :ヒンドゥー教寺院
- タ・プローム : 仏教寺院
- スラ・スラン : 仏教寺院
- バンテアイ・クデイ : 仏教寺院
- タ・ネイ : 仏教寺院
- 東バライ
- 東メボン : ヒンドゥー教寺院
- プラサット・クラヴァン :ヒンドゥー教寺院
▶︎ タ・プローム寺院完全ガイド|樹木に覆われた神秘の遺跡
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/cambodia/siem-reap-sightseening/ta-prohm/
【北東部エリア】
- クオル・コー : 仏教寺院
- ニャック・ポアン : 仏教寺院
- タ・ソム : 仏教寺院
【北東部郊外エリア】
- バンテアイ・スレイ :ヒンドゥー教寺院
- プノン・クーレン :
- クバール・スピアン :ヒンドゥー教寺院
- ベンメリア : ヒンドゥー教寺院
▶︎ バンテアイ・スレイ寺院|東洋のモナリザ
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/cambodia/siem-reap-sightseening/banteay-srei/
▶︎ ベンメリア遺跡|ラピュタのモデルとされる密林遺跡
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/cambodia/siem-reap-sightseening/beng-melea/
【北部エリア】
- プリヤ・カーン : 仏教寺院
▶︎ プリヤ・カーン寺院|巨大僧院としての役割と見どころ
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/cambodia/siem-reap-sightseening/preah-khan/
【西部エリア】
- 西バライ :
- 西メボン :ヒンドゥー教寺院
- アック・ヨム :ヒンドゥー教寺院
【南部郊外エリア】
- ワット・アトヴィア : ヒンドゥー教寺院
- プノン・クロム : ヒンドゥー教寺院
【南東部郊外エリア(ロリュオス遺跡群)】
- プリア・コー : ヒンドゥー教寺院
- バコン :ヒンドゥー教寺院
- ロレイ :ヒンドゥー教寺院
- スピアン・プラプトス :
▶︎ ロリュオス遺跡群ガイド|アンコール王朝最初期の都
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/cambodia/siem-reap-sightseening/lolei/
アンコール・トム (Angkor Thom)
基本情報
| 時間 | 7:30~17:30 |
| 定休日 | 無休 |
*遺跡観光には、アンコール・パス(共通チケット)の携帯が必須になります。
詳しくは、下記を参照してみてください。

アンコール・トムの都市構造【世界でも類を見ない宗教都市】
- 一辺 約3kmの正方形都市
- 高さ約8mの城壁
- 周囲 約12km
- 四方に巨大な城門(南大門がメイン)
- 都市中央に バイヨン寺院
碁盤目状に道路が整備され、宿駅・病院・寺院が配置されていた点は、
当時としては驚異的な都市計画でした。
南大門【アンコール・トムの象徴】
南大門は、アンコール・トムのメインゲート。
- 神々(デヴァ)と阿修羅が大蛇を引くレリーフ
- 橋の両脇に54体ずつ配置
- 中央に巨大な四面仏塔
ここから、「宗教都市の内部へ入る」という演出が始まります。
アンコール・トムは、高さ約8mの城壁に囲まれており、周囲 約12㎞の城壁内には、十字に主要道路が配置され
その中心にバイヨン寺院があります。

バイヨン寺院 (Bayon)
アンコール・トムの中央に位置する仏教寺院。
観世音菩薩を象徴する 四面塔 が最大の特徴です。
- 四面塔:54基
- 穏やかな微笑み
- 見る角度で表情が変わる
この表情は、「王の慈悲」「仏の慈悲」「国家の安定」すべてを象徴していると考えられています。

バイヨン寺院の構造【須弥山の宇宙観】
バイヨン寺院は、仏教世界観=須弥山 を立体的に表現しています。
- 中央祠堂:宇宙の中心
- 第一回廊:人間界
- 第二回廊:神仏の世界
第一回廊 庶民の暮らしと戦争
- 市場の様子
- 漁・狩猟
- 宮廷生活
- チャンパ軍との戦争
石に刻まれた歴史書 とも言われます。
チャンパ軍の行軍のレリーフ


第二回廊 観世音菩薩の微笑み
テラスから見上げると、角度によって 三つの顔が並ぶ瞬間 があります。
観世音菩薩の4面塔は、テラスに49、5つの塔門を入れて全部で、54あります。


第2層のテラスからは、見る位置により、3つの菩薩の顔が並んで見えます。

この景色は、
かつてカンボジアの 200リエル紙幣 にも描かれていました
(現在はほぼ流通していません)。

美しいデバター達。



カンボジアの世界遺産と聞くと、まずアンコール・ワットを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、実際に歩いてみると、より強く心に残るのはアンコール・トムだった、という声も少なくありません。
城壁に囲まれた巨大な宗教都市、碁盤目状に整えられた道路網、そして都の中心で静かに微笑むバイヨン寺院の観世音菩薩。
そこには、王の権威を誇示するためだけではなく、民を救い、国を支え、宇宙の秩序を地上に再現しようとした
ジャヤヴァルマン7世の思想が、今も石に刻まれたまま残されています。
アンコール遺跡群は、ひとつひとつが独立した見どころを持っていますが、
アンコール・トムを理解することで、アンコール・ワットや周辺寺院の意味も、より立体的に見えてくるはずです。
もし時間に余裕があるなら、ぜひアンコール・ワットだけで終わらせず、
宗教都市アンコール・トムの内部までじっくり歩いてみてください。
カンボジアの歴史と信仰、そしてクメール帝国の壮大な世界観を、肌で感じられるはずです。


コメント