「ミャンマー」という国名を聞いても、以前の国名「ビルマ」の方が馴染み深い人もいるかもしれません。
映画『ビルマの竪琴』を思い浮かべる世代も多いのではないでしょうか。
そんなミャンマーは、軍事政権や民主化など複雑な歴史を経ながら、
国名も時代ごとに変化してきました。
・1948~1974年 ビルマ連邦
・1974~1988年 ビルマ連邦社会主義共和国
・1988~1989年 ビルマ連邦
・1989~2010年 ミャンマー連邦
・2010年~ ミャンマー連邦共和国
旧首都ヤンゴンもまた、歴史の変化を色濃く残す街です。
もともとは1755年、ビルマ族のアラウンパヤー王がこの地を占領し、
「戦いの終わり」という意味を込めて「ヤンゴン」と名付けたと言われています。
現在のヤンゴンは、巨大な黄金パゴダ、英国統治時代のコロニアル建築、仏教文化、
混沌とした東南アジアの街並みが混ざり合う独特の都市でした。
今回は、実際に歩いて巡ったヤンゴンの主要観光スポットを紹介します。
ヤンゴン(Yangon)
ミャンマー最大都市ヤンゴンは、かつて首都として機能していた歴史都市です。
現在、首都機能はネーピードーへ移転していますが、経済・文化・観光の中心地として
今も国内最大級の存在感を持っています。
特に特徴的なのは、街全体に残るイギリス統治時代のコロニアル建築群と、
巨大な仏教寺院文化が共存していることです。
近代的な高層ビルが増えつつある一方で、旧市街では今も歴史的建築物が現役利用されており、
東南アジアの中でも独特の空気感を持つ都市だと感じました。
また、ヤンゴン最大の特徴とも言えるのが、街のどこからでも見える黄金の仏塔「シェダゴン・パゴダ」です。
ミャンマー仏教の中心的存在であり、国内最大の巡礼地として知られています。
シュエダゴン・パゴダ (Shwe Dagon Pagoda)
住所:Shwedagon Pagoda Rd, Yangon, Myanmar
| 営業時間 | 5:00~21:00 |
| 入場料金 | 8000チャット |
| 定休日 | 無休 |
紀元前6世紀頃、モン族の商人兄弟タプッサとバリカが、
悟りを開いた直後のブッダから聖髪8本を譲り受けたことが始まりと伝えられています。
その聖髪を献上されたオッカラパ王が建立したのが、シェダゴン・パゴダの起源とされています。
現在の巨大な姿になるまでには、長い歴史の中で地震や改修を何度も経験しており、
15世紀にバゴーの女王シンソープによって大規模改築が行われました。
実際に訪れてまず圧倒されるのは、黄金一色の空間です。
高さ99.4m、基底部の周囲433mという巨大仏塔は、
ミャンマー仏教そのものを象徴する存在のようにも感じられました。
さらに最頂部には、76カラットのダイヤモンドをはじめ、数千個もの宝石が装飾されています。
夜になると照明によって黄金色がさらに強調され、昼とはまったく異なる幻想的な景色へ変化します。
シェダゴン・パゴダ観光時の注意点
シェダゴン・パゴダでは裸足で境内を歩く必要があります。
ただ、日中は床面温度が非常に高くなり、真夏の砂浜以上の熱さを感じることもありました。
特に乾季の日中は、日陰以外を歩く際に火傷しそうなほど熱くなるため注意が必要です。
また、入口の靴預かり所へ預ける場合は、同じ出口から戻る必要があります。
私自身、夜に戻った際には預かり所が閉まっており、靴の回収にかなり時間がかかりました。
ビニール袋を持参し、自分で管理する方が安心かもしれません。
服装規定も比較的厳しく、肩や膝の露出には注意が必要です。






シングーの鐘(Singu Bell)
1852年、イギリス軍によって持ち出された鐘です。
しかし運搬中に船が沈没し、その後ミャンマー人によって引き上げられ、
再びシェダゴン・パゴダへ戻されたと言われています。
現在も境内内で重要な存在として残されています。

ルビーの眼の仏像
1852年、イギリスによる掘削工事中に地下から発見された仏像です。
願い事が叶う仏像として非常に人気があり、多くの参拝者が訪れています。
現在は、許可を受けた男性のみ直接参拝可能で、それ以外の参拝者はモニター越しに拝観する形となっています。


子宝祈願のブラマフー(梵天)
もともとは豊作祈願の祠として建立された場所です。
現在では子宝祈願の聖地として知られており、抱いている子供の姿によって男女それぞれの願掛けが行われています。

菩提樹
境内には複数の菩提樹がありますが、特に南東角にある木が最も大きいと言われています。
巡礼者たちが静かに祈る姿も印象的でした。

翡翠仏
ミャンマー北部カチン州産の翡翠から作られた仏像です。
宝石産業が盛んなミャンマーらしい奉納物でもあり、鉱業関連企業などによって寄進されました。

シンソープ仏
ミャンマー史上唯一の女王とも言われるシンソープ女王によって寄進された仏像です。
現在のシェダゴン・パゴダ大改修にも深く関わった人物として知られています。

チャンタージー大仏
境内最大級の巨大仏像です。
コンクリート製ではありますが、実際に近くで見ると非常に大きく、シェダゴン・パゴダの広さを改めて実感しました。

夜のライトアップ
シェダゴン・パゴダ最大の見どころのひとつが夜景です。
夕方以降になると、黄金の仏塔がライトアップされ始めます。
漆黒の空に浮かび上がる黄金色の巨大パゴダは、昼間とはまったく違う神秘的な空間でした。
個人的には、シェダゴン・パゴダは夕方から夜にかけて訪れるのが最もおすすめです。



チャウッタージ・パコダ (Chaukhtatgyi Buddha Temple)
住所:Shwegondaing Rd, Yangon, Myanmar
| 時間 | 5:00~21:00 |
| 料金 | 無料 |
1907年、地元有力者ボーターの寄進によって建立された寺院です。
最大の見どころは、全長約70m、高さ約17mにもなる巨大な寝釈迦仏。
当初はインド人職人によって製作されましたが、
ミャンマーらしさが薄いとして戦後に現在のデザインへ作り直されたと言われています。
特に印象的なのは、巨大な顔立ちと鮮やかな装飾です。
一般的な東南アジアの寝仏とは少し異なり、非常に繊細な目元や装飾が特徴的でした。

また、足裏には108の仏教世界観を表現したレリーフが細かく描かれており、こちらも見逃せません。


ヤンゴン市庁舎(Yangon City Hall)
住所:Maha Bandula Rd, Yangon, Myanmar
ミャンマー初期の近代建築家ウー・ティンによって設計された建築物です。
バガン遺跡をモチーフにした独特のデザインが特徴で、
英国統治時代の西洋建築とミャンマー伝統様式が融合しています。
夜間ライトアップ時は非常に美しく、旧市街のランドマーク的存在にもなっています。

独立記念塔(Independence Monument)
1948年、イギリスからの独立を記念して建設された塔です。
現在はマハバンドゥーラ公園中心部に建っており、周辺には旧政府関連建築も集まっています。
ヤンゴンの歴史を象徴する場所のひとつです。


元最高裁判所(Former High Court)
クィーン・アン様式で建てられたコロニアル建築です。
新首都ネーピードーへ機能移転するまで、約100年近く最高裁判所として使用されていました。
赤レンガ造りの巨大建築は非常に存在感があり、東南アジアでも保存状態の良い英国植民地建築のひとつと言われています。

中央郵便局(Yangon Central Post Office)
もともとはグラスゴー出身の兄弟が経営する貿易会社オフィスとして利用されていた建物です。
1930年の地震で旧中央郵便局が被害を受けた後、政府によって購入され郵便局として利用されるようになりました。
現在も現役の郵便局として使われており、内部見学も可能です。
高い天井やコロニアル様式の空間は、まるで植民地時代へ戻ったような雰囲気がありました。

ヤンゴンへのアクセス
ミャンマー最大の玄関口は、ヤンゴン国際空港(Yangon International Airport)です。
日本からの直行便は時期によって変動があり、
一般的にはバンコク、クアラルンプール、シンガポールなど東南アジア主要都市経由でアクセスする形になります。
空港から市内中心部までは車で約30~60分前後ですが、渋滞状況によって大きく変動します。
市内移動はGrab系配車アプリ、タクシー利用が比較的便利でした。
ただし、時間帯によってはかなり渋滞するため、余裕を持った行動がおすすめです。
黄金の仏塔と旧ビルマの空気が残る街
ヤンゴンを実際に歩いてみると、単なる東南アジア都市観光とは少し違う空気を感じました。
巨大な黄金パゴダを中心に人々の祈りが今も生活に深く根付いており、
一方で旧英国植民地時代の建築群も数多く残っています。
特にシェダゴン・パゴダの夜景は、ミャンマーを代表する景色のひとつだと思います。
政治的に不安定な時期も続いていますが、現地で感じた人々の穏やかさや信仰文化は非常に印象的でした。

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