バリ島には伝統的なバリ舞踊があり、その性格によって大きく3種類に分類されています。
ひとつは、宗教儀礼そのものとして神々へ奉納される「ワリ(Wali)」。
寺院祭礼などで演じられ、観光向けではなく、神聖な意味合いを持つ舞踊です。
次に、儀式と娯楽の中間的な存在とされる「ブバリ(Bebali)」。
宗教儀礼の一部として演じられながらも、物語性や観客への見せる要素を持っています。
そして、現在もっとも観光客に親しまれているのが「バリ・バリアン(Balih-Balihan)」。
娯楽性が高く、舞台芸能として発展した舞踊です。
また、バリ島には特に有名な「三大舞踊」があります。
・バロン
・ケチャ
・レゴン
今回紹介するのは、その中でも善と悪の終わりなき均衡を描く「バロンダンス」です。
バロンダンス (BARONG DANCE)
住所:Batubulan, Sukawati, Gianyar, Bali 80582 インドネシア
| 時間 | 9:00~10:30 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 100,000ルピー |
バロンダンスは、バリ・ヒンドゥーの世界観を色濃く反映した伝統舞踊です。
舞台の中心となるのは、善を象徴する聖獣「バロン」と、悪を象徴する魔女「ランダ」。
バリ島では、善と悪は完全に切り離された存在ではなく、
常に同時に存在しているものだと考えられています。
そのため、この舞踊では、どちらかが完全勝利することなく、戦いは終わりなく続いていきます。
これは、バリ独特の思想である「ルワ・ビネダ(Rwa Bhineda)」を表現しているとも言われています。
「すべての物事には対となる二面性が存在する」
という考え方であり、昼と夜、生と死、善と悪など、
世界は相反する要素の均衡によって成り立っているという思想です。
実際に鑑賞してみると、単なる民族舞踊というより、
宗教儀礼と演劇、音楽が融合した舞台芸術という印象がかなり強く感じられました。
特に、ガムラン演奏の独特な金属音が空間全体に響き渡り、
舞踊そのものだけでなく、会場全体が宗教的空気感に包まれていく感覚があります。
バロンダンスで使われる「バロン」の巨大な被り物は、
中国の獅子舞の影響を受けたとも言われており、インド・中国・東南アジア文化が混ざり合って形成された、
バリ文化の歴史的背景も感じやすいポイントです。

バロンダンスの物語
踊りは、大きく7つの場面に分かれています。
物語の主人公は、サデワ王子。
サデワ王子は、
死神への生贄として捧げられる運命にありました。
王子に仕える召使いたちは深く悲しみ、
そこへ死神の使いである魔女が現れます。
やがて女王と首相も登場しますが、魔女は女王へ呪いをかけ、
サデワ王子を生贄に捧げるよう命じさせます。
首相は王子を我が子のように愛していたため、
命令に逆らおうとしますが、魔女は首相にも呪いをかけてしまいます。
その後、
サデワ王子は死神の館の前へ縛り付けられます。
しかし、シヴァ神は王子を哀れみ、不死身の身体を与えます。
死神は敗北を悟り、逆に自分を殺して天へ送ってほしいと願います。
さらに弟子カレカも同じ運命を望みますが、
サデワ王子はそれを拒否。
怒ったカレカは巨大な獣や鳥へ姿を変えて戦いますが、
いずれも敗北します。
最後にカレカは、
悪魔の女王ランダへ変身。
対するサデワ王子は、
真実の神バロンへと姿を変えます。
しかし、
バロンとランダは互角の存在。
戦いに決着はつかず、
物語は「終わりなき戦い」として締めくくられます。
この結末そのものが、
バリ・ヒンドゥーの相対的世界観を象徴しています。
下は、バロンダンスの画像です。





実際のバロンダンスの様子は、動画でもまとめています。
上のストーリーを読んでから見ると、内容が理解しやすくなります。
実際に鑑賞して感じたこと
バトゥブラン地区では、
朝9時頃から観光客向けの公演が行われていることが多く、
ウブドやデンパサール方面からの日帰り観光でも訪問しやすい立地です。
会場によって多少内容は異なりますが、
基本的なストーリー構成は共通しています。
観光向け公演ではあるものの、
演奏や舞踊の空気感には宗教文化の要素が色濃く残っており、
単なるショー以上の独特な雰囲気を感じました。
特に印象的だったのは、
後半のランダとバロンの対決シーン。
激しいガムラン演奏とともに、
観客席まで緊張感が広がっていく感覚があり、
バリ舞踊特有の没入感を体験できます。
セリフはインドネシア語やバリ語中心ですが、
入口で簡単なストーリー解説を配布している会場も多いため、
事前に内容を把握しておくとかなり理解しやすくなります。
アクセス
バロンダンスの定番会場が集まるバトゥブラン地区は、
デンパサール中心部から車で約30〜40分前後。
ウブドからでも約30分程度です。
公共交通機関はかなり使いづらいため、
Grabやカーチャーター利用が現実的です。
バリ島では、
複数観光地をまとめて巡るカーチャーター文化が非常に一般的で、
バロンダンス鑑賞とあわせて、
・バトゥアン寺院
・ゴアガジャ
・テガラランライステラス
・ウブド王宮
などを組み合わせる人も多くなっています。
朝公演が中心のため、午前中に鑑賞し、
午後からウブド観光へ移動するルートも組みやすい印象でした。
バリ文化を象徴する舞踊
バロンダンスは、
単なる観光ショーではなく、
バリ島の宗教観や世界観を非常に分かりやすく体感できる伝統芸能でした。
特に、
「善が悪を完全に滅ぼす」のではなく、
両者が共存し続けるという結末は、
バリ独特の思想を象徴しているように感じます。
また、
ガムラン演奏や独特の仮面文化、
濃密な舞台空間も非常に印象的で、
バリ文化そのものを体験している感覚が強く残りました。
バリ島には、バロンダンス以外にも、
・男性合唱が特徴的なケチャダンス
・王宮文化を色濃く残すレゴンダンス
など、個性の異なる伝統舞踊があります。
もし時間に余裕があれば、複数の舞踊を見比べることで、
バリ文化への理解もさらに深まると思います。

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