バリ島内陸部の人気観光地として知られるウブド。
現在では、ライステラスやヨガ、カフェ、アートの街という印象が強い場所ですが、
もともとは王族文化と芸術文化が深く結びついた、バリ島の伝統文化中心地のひとつでもあります。
そんなウブドの中心部に位置しているのが、
今回紹介する「ウブド王宮(Puri Saren Agung)」です。
実際に訪れてみると、
巨大な王宮というより、現在も生活空間として機能している“開かれた王族邸宅”という空気感が強く、
観光地化されたバリ南部とは少し異なる、ウブド独特の落ち着いた雰囲気を感じました。
また、夜になると伝統舞踊公演も開催され、
バリ芸能文化を体感できる場所としても非常に人気があります。
ウブド王宮 (Puri Saren)
住所:Jl. Raya Ubud No.8, Ubud, Kecamatan Ubud, Kabupaten Gianyar, Bali 80571 インドネシア
| 時間 | 随時(*ただし、伝統舞踊公演時には、入場不可) |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 無料(*ただし、伝統舞踊鑑賞は、有料) |
*ウブド王宮での伝統舞踊鑑賞は、曜日により演目が変わります。
| 曜日 | 時間 | 演目 | 金額 |
| 月曜日 | 19:30~ | レゴンダンス | 100,000 |
| 火曜日 | 19:30~ | ラーマヤナ・バレエ | 100,000 |
| 水曜日 | 19:30~ | レゴン&バロンダンス | 100,000 |
| 木曜日 | 19:30~ | レゴン・トランス&パラダイス・ダンス | 100,000 |
| 金曜日 | 19:30~ | バロンダンス | 100,000 |
| 土曜日 | 19:30~ | レゴンダンス | 100,000 |
| 日曜日 | 19:30~ | マハーバーラタ・レゴン | 100,000 |
*チケットは、ウブド・ツーリストインフォメーションで購入できます。
また、売り子が販売しているのでそちらからでも購入できます。
ちなみに、席は、自由席のため早いもの勝ちになります。
ウブドの歴史と王宮文化
18世紀頃、バリ島ではゲルゲル王朝が崩壊し、
島内は複数の小王国へ分裂していきました。
その中のひとつがギャニャール王国であり、
その傍系王族であった「イダ・チョコルド・グデ・スカワティ」が、
初代ウブド王としてこの地域を統治したとされています。
その後、19世紀末から20世紀初頭にかけて、
オランダがバリ島への支配を本格化。
1900年前後にはギャニャール王国がオランダへ降伏し、
「オランダ保護領」として存続する形になりました。
その流れの中で、ウブド王家も植民地行政に関わる立場となり、
政治だけでなく芸術・文化保護の役割も担っていくことになります。
そして20世紀に入ると、
欧米の芸術家や文化人がウブドへ滞在するようになり、
現在の芸術の村・ウブドというイメージが形成されていきました。
第二次世界大戦後、インドネシア共和国成立に伴い王制は消滅しましたが、
現在でも王族の子孫が王宮内で生活を続けています。
ウブド王宮を歩いてみる
ウブド王宮は、
ウブド市場(ウブド・アートマーケット)の向かい側に位置しており、
ウブド観光では非常に立ち寄りやすい場所です。
ただ、実際に訪れてみると、巨大な城郭建築というより、
ヒンドゥー寺院と伝統家屋が組み合わさった静かな空間という印象が強く感じられました。
門をくぐると、バリらしい細密彫刻が施された石造装飾や、
割れ門(チャンディ・ブンタル)、赤レンガ建築が並び、
ウブドらしい芸術文化の空気が濃く漂っています。
敷地自体はそこまで広大ではありませんが、
建築装飾の密度が非常に高く、
細かなレリーフや守護像を眺めながら歩くだけでも十分楽しめる場所でした。
プレ・サレンとバレ・パトッ
王宮中心部に位置するのが、
「プレ・サレン(Puri Saren)」と呼ばれる中庭空間です。
その周囲には、王族儀式や接客空間として使われてきた東屋式建築が並んでいます。
中でも特徴的なのが、
「バレ・パトッ(Bale Patok)」と呼ばれる建物。
これは王族の休憩所や物見台として利用されていた施設で、
開放的な東屋建築と装飾彫刻が印象的でした。
現在のウブドは観光地として非常に賑わっていますが、
こうした建築を見ると、もともとは宗教儀礼や王族文化を中心に発展してきた街であることを実感できます。


サレン・アグン宮殿(Puri Saren Agung)
王宮中心部にあるのが、「サレン・アグン宮殿」です。
16世紀頃に建設されたとされますが、
現在残る建物群は1970年代以降に改修されたものが中心と言われています。
それでも、屋根装飾や石彫刻、木工細工などには、
バリ王族建築らしい華やかさが色濃く残っています。
特に印象的だったのは、金装飾と赤レンガ装飾の組み合わせ。
南国植物に囲まれた空間の中に、
宗教性と王族文化が自然に溶け込んでいる独特の景観が広がっていました。
コリ・アグン(中門)
王宮内でも特に目を引くのが、
「コリ・アグン(Kori Agung)」と呼ばれる装飾門です。
精密な石彫刻が全面に施されており、
ウブド芸術文化の象徴的存在とも言える空間。
この彫刻には、バリ近代芸術を代表する画家・彫刻家として知られる
「グスティ・ニョマン・レンパッド」が関わったとも言われています。
単なる入口というより、宗教空間へ入るための神聖な境界としての意味合いが強く、
バリ・ヒンドゥー建築独特の世界観を感じやすい場所でした。

アンチャッ・サジ(中庭)
王宮内の広場空間「アンチャッ・サジ」は、
夜になると伝統舞踊公演会場として利用されます。
昼間は比較的静かな空間ですが、
夜になるとガムラン演奏とともに、
レゴンダンスやバロンダンスなどの伝統舞踊が上演され、
王宮全体が幻想的な雰囲気に包まれます。
ガムラン音楽が響く中、
ライトアップされた王宮建築を背景に踊りが始まる光景は、
“観光ショー”というより、
今も続く宗教文化儀礼に近い空気感がありました。

昼間は、ガムラン楽器が静かに並べられており、夜公演へ向けた独特の静けさが漂っていました。

ウブド王宮のプライベートエリアは、立入禁止になっていますので注意してください。

ウブド王宮の周りには、いくつものヒンドゥー教の寺院があります。

そして、少し離れた場所には、有名なライステラスが広がっています。
こういう場所で、食事をしながらのんびりするのは最高ですね。

周辺散策も魅力
ウブド王宮周辺には、
バリ・ヒンドゥー寺院、カフェ、雑貨店、スパ、レストランが密集しています。
また、少し郊外へ移動すると、
有名なテガララン・ライステラスも広がっており、
のんびり景色を眺めながら食事を楽しめる店も数多くあります。
実際に歩いてみると、ウブドは「観光地」というより、
芸術・宗教・自然・日常生活が混ざり合った街という印象が強く感じられました。
街自体も比較的コンパクトで、
徒歩圏内でカフェ巡りや買い物を楽しみやすいのも魅力です。
芸術と信仰文化が今も日常に残るウブド。
バリ島南部のビーチリゾートとはまた違う、
静かで文化的なバリを体感したい人には、非常に相性の良いエリアだと思います。


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