フィリピン・ルソン島北西端に位置するラオアグ(Laoag)。
イロコス・ノルテ州の州都であり、スペイン統治時代の面影を色濃く残す街です。
南シナ海沿いに広がるイロコス地方は、
「ルソン島で最も美しい地域のひとつ」とも言われ、
バロック様式の教会群や石造建築、乾いた空気感の街並みが特徴です。
世界遺産ビガン歴史都市やパオアイ教会観光の拠点として利用されることも多く、
ラオアグ自体も“通過地点”だけでは終わらない独特の魅力を持っています。
実際に歩いてみると、
マニラのような巨大都市とはまったく違い、
ゆっくり流れる空気の中にスペイン統治時代の名残が自然に溶け込んでいました。
さらに、この地域はマルコス元大統領の出身地としても知られており、
政治史的な意味でもフィリピンを語る上で外せない土地です。
今回は、実際に訪れたラオアグ市内の見どころを中心に、
街の雰囲気や歴史背景も含めて紹介します。
目次
ラオアグ(Laoag)について
ラオアグは、フィリピン北部イロコス地方に位置する都市で、
スペイン統治時代には宗教・行政の中心地として発展しました。
イロコス地方は、16世紀以降にスペイン人宣教師たちが積極的に布教を進めた地域でもあり、
現在も巨大な教会建築が数多く残っています。
特に有名なのが、世界遺産「パオアイ教会(Paoay Church)」を代表とするアースクエイク・バロック様式です。
これは、地震の多いフィリピンで発展した独特の教会建築様式で、
巨大な控壁(バットレス)を持つ重厚な構造が特徴となっています。
ラオアグ周辺には、
そうしたスペイン統治時代の建築が今も普通に街へ溶け込んでおり、
観光地化され過ぎていない空気感も魅力でした。
州庁舎(Ilocos Norte Provincial Capitol)
住所:5HWW+WV6, Ilocos Norte Provincial Capitol, J.P. Rizal St., Laoag City 2900, Laoag City, Ilocos Norte, フィリピン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時間 | 外観見学自由 |
| 定休日 | なし |
| 料金 | 無料 |
ラオアグ中心部に建つイロコス・ノルテ州庁舎。
観光施設というより行政機関ですが、白亜のコロニアル建築が非常に美しく、
ラオアグを象徴する景観のひとつになっています。
巨大な円柱が並ぶネオクラシカル様式の建物は、
どこかアメリカ統治時代の空気も感じさせ、
スペイン文化だけではないフィリピン近代史の重なりを感じます。
周囲には広場やヤシの木も整備されており、南国らしい開放感も強め。
観光客はそれほど多くなく、地元住民が普通に行き交う日常空間になっていました。
夕方近くになると光が柔らかくなり、建物の白壁がかなり綺麗に映えます。
派手な観光地ではありませんが、
「地方都市フィリピン」の空気感を感じるには良いスポットでした。


シンキング・ベルタワー(Sinking Bell Tower)
住所:5HVV+W9P, A. Bonifacio, Laoag City, Ilocos Norte, フィリピン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時間 | 外観見学自由 |
| 定休日 | なし |
| 料金 | 無料 |
ラオアグのランドマークとも言える巨大な鐘楼。
1707年の地震後に建設されたと言われており、高さ約45m、4層構造の巨大レンガ建築です。
「Sinking(沈む)」という名前の通り、長年にわたって地盤沈下を続けてきたことで有名になりました。
かつては「毎年1インチ沈む」とも言われていたそうですが、
現在は補強工事により沈下は抑えられていると言われています。
実際に近くで見ると、
フィリピンの地方都市に突然巨大なレンガ塔が現れるような不思議な景色です。
周辺が平坦な街並みということもあり、遠くからでもかなり目立ちます。
土壌に砂分が多く、近くを流れる河川の影響も沈下原因と考えられていたそうです。
現在は内部立入不可でしたが、外観だけでも十分に迫力があります。
夕暮れ時はレンガの色がより濃く見え、スペイン植民地時代の空気を強く感じました。



聖ウィリアム大聖堂(Saint William’s Cathedral (Diocese of Laoag))
住所:5HVV+H97, Laoag City, Ilocos Norte, フィリピン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時間 | 不明 |
| 定休日 | なし |
| 料金 | 無料 |
ラオアグを代表するカトリック教会。
1612年にアウグスチノ会によって創建され、
現在の建物は1650〜1700年代にかけて整備されたものです。
イタリア・ルネサンス様式を取り入れたファサードが特徴で、
左右対称のデザインと、蝋燭をモチーフにしたような独特の装飾が印象に残ります。
フィリピンの教会というと、豪華な祭壇や極彩色装飾をイメージする人も多いですが、
この教会内部は比較的シンプル。
巨大な空間に白壁が広がり、落ち着いた祈りの空気が流れていました。
歴史の中では、革命勢力やアメリカ軍に占拠された時期もあり、
さらに火災や地震被害も何度も経験しています。
それでも修復を繰り返しながら現在まで残されており、
ラオアグの歴史そのものを見続けてきた存在とも言えそうです。
目の前にはシンキング・ベルタワーも建っており、セットで見学しやすい立地でした。






ラオアグ周辺の見どころ
ラオアグ観光では、周辺エリアと組み合わせるとさらに楽しめます。
特に有名なのが、世界遺産「パオアイ教会(San Agustin Church of Paoay)」。

巨大な控壁を持つアースクエイク・バロック建築の代表例で、フィリピン屈指の教会建築として知られています。
さらに、
スペイン統治時代の街並みが残る世界遺産「ビガン歴史都市」も比較的近く、
イロコス地方は“北フィリピン歴史街道”のような魅力があります。
また、マルコス元大統領の生家や霊廟など、
近現代フィリピン政治史に関わるスポットも点在しています。
ラオアグへのアクセス
ラオアグの玄関口となるのが、
ラオアグ国際空港(Laoag International Airport)です。
マニラからは国内線で約1時間ほど。
セブ・パシフィック航空やフィリピン航空が運航しており、
比較的アクセスしやすい地方都市となっています。
空港から市内中心部までは近く、タクシーやトライシクルで15〜20分ほど。
一方で、イロコス地方全体を観光する場合は、
チャーター車やツアー利用の方が効率的でした。
特にパオアイ教会、ビガン、ラオアグを組み合わせる場合、
公共交通だけだと移動時間が読みにくい場面もあります。
最近ではマニラ発の日帰りツアーや周遊ツアーも増えているため、
短期旅行者でも比較的訪問しやすくなっています。
フィリピンというと、
ビーチリゾートや巨大都市マニラをイメージする人が多いかもしれません。
しかし、ラオアグ周辺には、
スペイン植民地時代の建築や静かな地方都市の空気が今も色濃く残っています。
私は日帰りで駆け足観光になりましたが、
本来なら数日かけてイロコス地方をゆっくり巡りたくなるエリアです。

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