子供の頃から憧れていたナスカの地上絵。
まさに、古代ミステリーの最高峰とも言える世界遺産です。
実際にペルーへ行ってみると、ナスカの地上絵は「ただ見る観光地」ではなく、
乾いた砂漠の中で古代文明の謎を体感する場所でした。
小型セスナは想像以上に揺れ、地上絵は思った以上に見つけづらいです。
それでも、砂漠の中に突然巨大な線が現れる瞬間は、
テレビで見る映像とはまったく違うリアルな迫力がありました。
今回は、実際の遊覧飛行体験を交えながら、世界遺産ナスカの地上絵を詳しく紹介します。
ナスカの地上絵(Nazca Lines)
1994年 ユネスコ世界文化遺産に登録。
2016年に登録名称変更。
ナスカの地上絵は、ペルー南部の乾燥地帯に広がる巨大地上絵群です。
紀元後100〜800年頃に描かれたと考えられており、
砂漠地帯に巨大な直線、幾何学模様、動植物などが数多く残されています。
地上絵は、空から見ることで初めて全体像がわかるものが多く、
その巨大さと精密さは実際に見ると圧倒されます。
現在でも「何のために描かれたのか」が完全には解明されておらず、
世界最大級の古代ミステリーとして知られています。
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世界遺産に選ばれた背景
ナスカの地上絵が世界遺産に選ばれた理由は、古代ナスカ文化が残した巨大地上絵群が、
人類史の中でも極めて独創的な文化的景観として評価されたためです。
広大な砂漠の中に、動物、植物、人物、直線、幾何学模様などが巨大スケールで描かれており、
その精度は現代から見ても驚かされます。
しかも、これらは単なる装飾ではなく、宗教儀礼、天体観測、水への祈り、
農耕文化などと結びついていた可能性があります。
文字による記録が残っていないため、現在でも目的は完全には解明されていません。
その「謎」そのものも、ナスカの価値のひとつになっています。
さらに、年間降水量が極端に少ない自然環境の中で、
1000年以上にわたり保存されてきた点も高く評価されています。
古代文明の知恵と自然環境が奇跡的に重なった世界遺産です。
歴史背景
ナスカの地上絵は、長い間ほとんど存在が知られていませんでした。
地上からでは全体像を確認しにくく、本格的に注目され始めたのは飛行機が普及した20世紀以降です。
1939年、アメリカの考古学者ポール・コソック博士が上空から地上絵を確認し、
学会で発表したことで世界的に知られるようになりました。
その後、ドイツ人研究者マリア・ライへ女史が長年にわたり調査と保護活動を続け、
多くの地上絵が記録されていきます。
この地域は年間降水量が5mm程度とも言われる極端な乾燥地帯です。
さらに、地表近くに安定した空気層が存在することで強風が起こりにくく、
深さ5cmにも満たない線が1000年以上残り続けたと考えられています。
ただ近年は、気候変動による降雨増加や無断侵入などの影響で、
地上絵の劣化も問題になっています。
地上絵ってそもそも何?
現在でも文字による記録が残っておらず、何のために描かれたのかは完全にはわかっていません。
そのため、さまざまな学説が存在しています。
代表的なのが、太陽の位置から季節を知る「カレンダー説」。
乾季と雨季を知るために利用されていたという考えです。
また、地下水脈や水源を示したという「水源説」もあります。
雨が少ないナスカ地方では、水は命そのものでした。
さらに、クモやコンドルなど雨を象徴する存在が描かれていることから、「雨乞い儀礼説」も有力視されています。
そして最も有名なのが「宇宙人説」。
巨大な幾何学模様を滑走路と考える説や、空からしか見えないため宇宙人が描いたという説まで存在します。
もちろん学術的には否定的ですが、「古代最大の謎」というロマンを強く感じさせる部分でもあります。
ナスカの地上絵への行き方
ナスカの地上絵を見る場合、
一般的には「ナスカ空港」「イカ空港(ラス・ドゥナス空港)」「ピスコ空港」からの遊覧飛行になります。
特にリマ発の日帰りツアーでは、イカやピスコを経由するケースが多く、
ワカチナ湖観光と組み合わせたプランも人気です。
リマ市内からイカにあるラス・ドゥナス空港までは、車で約4時間30分ほど。
長距離移動になりますが、砂漠地帯を横断していく景色はペルーらしい空気感が強く、
移動そのものも旅の一部になっていきます。
イカ空港・遊覧飛行(Las Dunas Airport)
住所:Aeródromo Las Dunas, Ica, Peru
イカ空港からナスカ地上絵エリアまでは、およそ40分ほどのフライトになります。
空港では事前に地上絵の説明を受け、どの方向に何が見えるかを簡単に教えてもらってから搭乗します。
実際に小型セスナへ乗り込むと、かなりコンパクトです。
左右どちらの席でも地上絵が見えるよう、パイロットが旋回しながら飛行してくれます。
離陸後は、ひたすら乾いた砂漠地帯を飛び続けます。
テレビで見ると地上絵はかなり大きく見えますが、実際には上空から探すのは意外と難しく、
最初は「どこ?」となることも多いです。
しかも、飛行機はかなり揺れます。
撮影しながら地上絵を探していると、酔いやすい人はかなり厳しいと思います。
実際、空港へ戻ってきた観光客の多くがヘロヘロになっていました。
それでも、砂漠の中に突然巨大な線が浮かび上がる瞬間は独特です。
「古代文明の痕跡を空から探している」という感覚が強く残りました。
ナスカの地上絵までの料金は、時期や場所により値段がまちまちなので、現地で確認してみてください。
*2020年1月より、遊覧飛行の料金とは、別に空港税に追加して入場料の支払いが必要になりましたので注意してください。
■ 観光チケット(入場料)額
- ナスカ空港 — 15ソル(約US$5)
- イカ空港 —– 30ソル(約US$10)
- ピスコ空港 — 45ソル(約US$15)
支払いは、現地払いになります。

ナスカへのフライトはここから飛び立ちます。

事前にナスカの地上絵の説明を受けてから旅立ちます。

イカの空港からナスカの地上絵エリアまでは、およそ40分のフライトで、小型セスナに乗り込み向かいます。

飛行機の中はこんな感じです。

イカから飛び出すと、ひたすら砂漠を延々と飛行します。

地上絵はどうやって描かれたの?
現在では、地上絵は「拡大法」によって描かれたという説が有力です。
基準点となる場所に杭を打ち、下絵を拡大しながら紐で線を引いていったと考えられています。
曲線部分も、基準点から放射線状に杭を配置することで、巨大な形を正確に再現したとされています。
ナスカの地上絵に一筆書きが多いのは、この方法と関係しているとも言われています。
最後に、地表の赤茶けた酸化土を約5cm取り除くことで、
下にある白っぽい地面を露出させ、巨大な地上絵を完成させました。
シンプルな方法ですが、それを数十〜数百m単位で行っていることに驚かされます。
ちなみに、ナスカの地上絵の代表的なものは15個あります。
私が撮影したものは、下記になります。
クジラ(Ballena)
ペルー近海では一般的ではないクジラが描かれている点が大きな謎になっています。
なぜ彼らがクジラを知っていたのかは、現在でもはっきりしていません。
実際に空から見ると、やや細長い線で構成されており、最初は形を把握しづらいです。
ただ、一度見つけると独特の存在感があります。
ナスカの地上絵は、単純な動物画ではなく、宗教的・宇宙観的な意味を持っていたとも言われています。

宇宙飛行士(Astronaut)
全長約32m。
ナスカの地上絵の中でも特に有名な人物絵です。
「宇宙飛行士」と呼ばれていますが、実際にはアンデス地方の知識の神を描いた存在ではないかとも言われています。
山の斜面に描かれているため比較的見つけやすく、遊覧飛行でも盛り上がるポイントのひとつです。
巨大な目と不思議なポーズは、現代人が見てもどこか異質に感じます。

サル(Mono)
サル本体だけで約30m。
しっぽを含めると約110mにもなる巨大地上絵です。
渦巻き状の尻尾が特徴的で、ナスカ地上絵の中でもかなり印象に残ります。
実際に上空から見ると、細い線でここまで複雑な曲線を描いていることに驚かされます。
保存状態も比較的良く、巨大な一筆書きのような迫力がありました。

コンドル(Condor)
アンデス世界では、コンドルは「天」と「神」を結ぶ神聖な存在でした。
そのため、宗教儀礼と関係していた可能性も考えられています。
実際の地上絵はかなり大きく、飛行機が旋回すると翼の広がりが見えてきます。
巨大な鳥が砂漠に張り付いているような独特の迫力がありました。

クモ(Araña)
全長約46m。
雨の化身として崇められていた存在とされています。
ナスカ地方は極端な乾燥地帯だったため、水と雨は非常に重要でした。
そのため、農耕儀礼や祈りと結びついていた可能性があります。
細長い脚の線が非常に繊細で、保存状態の良さも印象的でした。

ハチドリ(Colibri)
全長約86m。
ナスカ地上絵を代表する存在です。
保存状態も非常に良く、パンフレットや紹介映像でもよく使われています。
ハチドリのくちばしが接する線は、夏至の日の太陽を示しているという説もあります。
左右対称の美しさが際立ち、巨大地上絵というより芸術作品のようにも見えました。

木(Arbol)
全長約70m。
周辺に描かれた模様から、植物の根を表しているとも考えられています。
比較的道路に近い場所にあり、展望台からも確認できます。
乾燥した砂漠に「生命」を象徴するような木が描かれているのは興味深いです。

手(Manos)
全長約50m。
2本の巨大な手が描かれています。
片方の手の指が少ないことから、「9本指の人類」を表したという説もあります。
シンプルな図像ですが、不思議な存在感があります。

また、2020年10月に新たにネコ科の動物の地上絵が、ナスカ高原で発見されたそうです。
全長は、37mで、紀元前200年頃のもので、2020年初めに線の一部が発見され、修復され発表となったそうです。
いまだに、埋もれた地上絵があるのはなんともロマンチックですね。
ただ、地上絵を見るとなると正直、飛行機は揺れ揺れで、撮影しようとすると吐き気との戦いです。
望遠レンズで撮影するのは至難の業です。
みなさん空港に戻ってきた時は、ヘロヘロでした。
ちなみに、空港に戻ると、下記の飛行証明書がもらえます。

アクセス
一般的な玄関口はリマのホルヘ・チャベス国際空港。
リマ市内からイカのラス・ドゥナス空港までは車で約4時間30分です。
長距離バスを利用してイカへ向かい、現地から遊覧飛行ツアーへ参加する方法もあります。
ピスコ発やナスカ発の遊覧飛行もありますが、リマから日帰りで動く場合はイカ経由ツアーが比較的利用しやすいです。
ワカチナ湖観光と組み合わせた現地ツアーも多く、移動や航空手配をまとめたい人には便利です。
実際に行って感じたこと
正直に言うと、テレビで見るナスカの地上絵と、実際にセスナから見る景色にはかなり差があります。
地上絵は思った以上に見つけづらく、飛行機はかなり揺れます。
撮影も簡単ではありません。
ただ、それでも「1000年以上前の人類が、なぜこれを描いたのか」という
謎を実際の砂漠の上で考える時間は特別でした。
単純な絶景観光とは違い、「古代文明の痕跡を体感する旅」に近い場所だと思います。
そして、いまだに新しい地上絵が見つかっているという事実が、
この世界遺産をさらに魅力的にしていました。

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