地図で見ると、スリランカは遠い国に見えます。
しかし実際に訪れてみると、
インド洋に浮かぶこの島には、仏教文化と王朝の歴史が色濃く残っています。
その中心となるのが——
古都キャンディ(Kandy)です。
山々に囲まれた湖畔の町。
スリランカ仏教の聖地として、今も多くの巡礼者が訪れます。
私が訪れたときも、市内は大渋滞。
道は狭く、歩くのも大変なほどの人の多さでした。
それだけ、この街が 信仰の中心地である証拠でもあります。
さらにキャンディでは、
スリランカ最大の宗教祭礼が行われます。
それが——
エサラ・ペラヘラ祭り。
仏歯を納めた舎利容器を載せた象が街を練り歩き、
100頭近い象と舞踊団が行進する壮大な祭礼です。
スリランカ仏教の精神が最も強く感じられる都市。
それが キャンディです。
聖地キャンディ(Sacred City of Kandy)
1988年 ユネスコ世界文化遺産登録
キャンディは、1592年にヴィマラ・ダルマ・スーリヤ1世によって築かれたシンハラ王朝最後の都です。
スリランカ王国は長く内陸部に王都を置き、
ポルトガルやオランダなどヨーロッパ勢力と対抗してきました。
その象徴が、王権の正統性を示す聖遺物——
仏陀の歯(仏歯)
です。
この仏歯を祀る寺院があることで、
キャンディは スリランカ仏教の中心都市となりました。
王朝は1815年にイギリスにより滅亡しますが、
キャンディは今も巡礼都市として重要な役割を持っています。
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仏歯寺 (Dalada Maligawa)
スリランカを代表するシンハラ様式の仏教寺院。
仏陀の犬歯(仏歯)を祀る、スリランカ仏教最大の聖地です。
住所:Sri Dalada Veediya, Kandy 20000 スリランカ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 営業時間 | 5:30〜20:00 |
| 料金 | 1500ルピー(外国人) |
| 服装 | 肩・膝が隠れる服装 |
スリランカ仏教の中心聖地
仏歯寺は、スリランカで最も神聖な寺院です。
寺院には仏陀の犬歯(仏歯)が祀られています。
この仏歯は4世紀頃、インドからスリランカへ密かに運ばれたと伝えられています。
その後、シンハラ王朝の象徴として歴代の王都に安置され、16世紀末にキャンディへ移されました。
以来、
仏歯を持つ王が正統な王とされてきました。
つまり仏歯は
・宗教
・王権
両方の象徴だったのです。
厳重な警備
1998年、仏歯寺では
タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)による爆弾テロが発生しました。
スリランカ独立50周年式典の日の出来事で、
多くの死傷者が出ました。
この事件以降、寺院の警備は非常に厳しくなり、
・手荷物検査
・ボディチェック
などが行われています。
八角堂(Octagon)
仏歯寺の入口近くにある建物が
八角堂(パタリッパワ)です。
かつては王が市内を見張る監視塔として使われていました。
現在の建物は、
1998年の爆弾テロで損傷した後に修復されたものです。

門のレリーフは、キャンディ様式です。

天井には、
エサラ・ペラヘラ祭りの様子が描かれています。
ちなみにペラヘラとは
「行列」「行進」という意味です。

プージャ(礼拝)
仏歯寺では、
1日3回の礼拝儀式が行われます。
| 時間 |
|---|
| 5:30〜 |
| 9:30〜 |
| 18:30〜 |
この時間は多くの巡礼者が訪れ、
寺院内は祈りの空気に包まれます。
インドのガンジス川の祈りと同じく、
信仰が日常に溶け込んでいる光景を感じることができます。


仏歯の公開
仏歯は常に公開されているわけではありません。
参拝者が見ることができるのは
宝石で飾られた舎利容器(小箱)です。
実際の仏歯は、その内部に安置されています。



インドのガンジス川のプージャや、ここキャンディの礼拝を体験すると、
日本ではなかなか感じることのない強い信仰心を実感します。
キャンディ芸術協会 (kandyan Art Association)
キャンディアン・ダンス(Kandyan Dance)を見学できます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開演 | 17:00〜 |
| 時間 | 約1時間 |
| 料金 | 約2000ルピー |
キャンディ地方の伝統舞踊で、ペラヘラ祭りでも踊られています。
演目は、
- マクル・ベラ(Magul Bara) ・・神々を祝福する儀式
- プージャ・ナトゥマ(Puja Natuma)・・ブッダに祈りをささげるプージャを表現した踊り
- ラバンの踊り(Raban)・・皿回しの民謡舞踊
- 仮面の踊り(Mask Dance)・・悪魔祓いの祈り
- 茶摘みの踊り(Tea Plucking Dance)・・かごを背負った女性が茶摘みをする様子を表現
- パンゼル・ナトゥマ(Pantheru Natuma)・・シンハラ族の戦士の踊り
- サルパリヤ(Salupaliya)・・スリランカ南部に伝わる踊り
- マユラ・ナトゥマ(Mayura Natuma)・・クジャクを表現した踊り
- ギニ・シシーラ(Gini Sisila)・・火は、人間を悩ます27の悪魔を追い出す踊り
- ヴェズ・ナトゥマ(Ves Natuma)・・キャンディアン・ダンスの一番大事な踊り
- オーケーストラオーケストラ(The Drum Orchestra)・・プージャの始まりで演奏される伝統音楽
- 火渡りの儀式(Fire Walking)・・燃え盛る炎の上を歩く。


キャンディアンダンスの模様をダイジェストで編集してみました。
アクセス
キャンディはスリランカ中央部の山岳地帯に位置し、首都コロンボから約120kmの距離にあります。
鉄道(おすすめ)
コロンボ・フォート駅からキャンディ駅まで直通列車があります。
所要時間は 約2時間30分〜3時間。
スリランカ鉄道の人気路線で、山岳地帯や紅茶畑の景色を楽しみながら移動できます。
バス
コロンボ市内のバスターミナルからキャンディ行きのバスが多数運行しています。
所要時間は 約3〜4時間。
料金は安いですが、道路渋滞や混雑が多いのが難点です。
空港から
スリランカの玄関口 バンダラナイケ国際空港(コロンボ空港)からキャンディまでは車で 約3〜4時間。
空港からタクシーで直接向かうか、
一度コロンボ市内へ出て鉄道で移動する方法が一般的です。
キャンディ観光のポイント
キャンディは山に囲まれた町で、
街の中心には キャンディ湖があります。
主な見どころは以下です。
・仏歯寺
・王宮跡
・キャンディ湖
・キャンディアン・ダンス
・エサラ・ペラヘラ祭り
しかし市内は道が狭く、
交通渋滞が非常に多い都市でもあります。
徒歩で観光するのが一番効率的です。
スリランカの内陸部にある古都キャンディ。
仏歯寺を中心に
今も巡礼者が訪れる仏教の聖地です。
そして年に一度、
街全体が宗教祭礼の舞台になる
エサラ・ペラヘラ祭り。
象の行列、太鼓、舞踊。
信仰と文化が融合した壮大な光景が広がります。
スリランカを訪れるなら、
この古都を歩いてみてください。
王朝の歴史と信仰が息づく街が
今も静かに残っています。

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