地図で見ると、フィリピンは日本から遠い南国の島国に見えます。
しかし実際に訪れてみると——
この国には、アジアの中でも特に長いキリスト教文化の歴史が残っています。
スペイン植民地時代に築かれた石造聖堂。
地震や台風に耐える独特の建築様式。
そして、300年以上続いたカトリック布教の中心地。
それらが今も残る場所が——
マニラ旧市街イントラムロスにあるサン・アグスティン教会です。
フィリピンに残るスペイン植民地時代の聖堂群は、
「フィリピンのバロック様式聖堂」としてユネスコ世界文化遺産に登録されています。
その中でも最も古く、そして唯一マニラに残った聖堂がこの教会です。
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この教会は、ユネスコ世界遺産
「フィリピンのバロック様式聖堂」の構成資産のひとつです。
フィリピンのバロック様式聖堂 (Baroque Churches of the Philippines)
1993年 ユネスコ文化遺産に登録
対象となる教会は以下の4か所です。
| 場所 | 教会 |
|---|---|
| マニラ | サン・アグスティン教会 |
| パオアイ | サン・アグスティン教会 |
| サンタ・マリア | アスンシオン教会 |
| ミアガオ | サント・トマス・デ・ビリャヌエバ教会 |
これらの教会は、スペイン植民地時代に建設されたカトリック聖堂で、
・地震に耐える厚い壁
・要塞のような外観
・南国の気候に対応した建築
などが特徴です。
この建築様式は
「地震のバロック(Earthquake Baroque)」と呼ばれています。
フィリピン植民地化と教会建設
フィリピンの歴史の大きな転換点となったのが
1521年のマゼラン来航です。
1519年、スペイン王の命を受けた探検隊が
東洋の香料を求めて出航しました。
指揮官はポルトガル人航海士
フェルディナンド・マゼラン
1521年、フィリピンのセブ島に到達します。
マゼランは現地の首長と友好関係を築き、
キリスト教の布教を開始しました。
しかしその後、近隣勢力との戦闘で
マクタン島の戦いで戦死します。
その後スペインは本格的にフィリピンを植民地化し、
宣教師たちが各地に送り込まれました。
彼らによって各地に建てられたのが
カトリック教会です。
教会は単なる宗教施設ではなく、
・布教拠点
・行政拠点
・防衛拠点
という役割を持っていました。
サン・アグスティン教会(San Agustin Church)
住所:General Luna St, Intramuros, Manila, 1002 Metro Manila, フィリピン
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開館時間 | 月〜土 8:00〜12:00 / 13:00〜17:00 |
| 日曜 | 8:00〜12:00(ミサ中心) |
| 入場料 | 教会:無料 |
| 定休日 | なし |
フィリピン最古の石造教会
現在のサン・アグスティン教会は
1607年完成。
フィリピンに残る
最古の石造建築です。
最初の教会は1571年に建設されましたが、
当時はヤシの木などを使った木造建築でした。
しかし、
・中国海賊の襲撃
・火災
などで2度焼失。
そのため修道士たちは
石造の教会として再建することを決定します。
1587年に建設が始まり、
約20年かけて完成しました。
地震と戦争を生き残った教会
サン・アグスティン教会は、
・17世紀以降の大地震
・1863年マニラ地震
・第二次世界大戦
など数多くの災害を生き残りました。
特に有名なのが
第二次世界大戦のマニラ市街戦。
イントラムロスの建物のほとんどが破壊されましたが、
この教会だけが奇跡的に残りました。
現在でも当時の姿を保っています。

教会内部
教会内部は、典型的なスペイン・バロック様式。
特徴は
・豪華な祭壇
・天井フレスコ画
・ヨーロッパ製シャンデリア
などです。
天井画はイタリア人画家
チェーザレ・アルベローニによるもの。
一見すると立体的な彫刻のように見えますが、
実はトロンプ・ルイユ(だまし絵)という技法で描かれています。






失われた鐘楼
教会はもともと
左右に2つの鐘楼がありました。
しかし
1863年の大地震
により片方が崩壊。
安全のため撤去され、
現在は1つだけ残っています。
撤去された鐘楼の鐘(約3.4トン)は
現在入口付近に展示されています。

サン・アグスティン博物館
教会の隣には
サン・アグスティン博物館があります。
ここは元修道院を利用した博物館で、
フィリピン植民地時代の宗教文化を知ることができます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時間 | 8:00〜18:00 |
| 料金 | 大人 200ペソ |
| 学生 / 子供 | 160ペソ |
| 定休日 | なし |
こちらが、チケットです。

博物館の入口は、教会の入口の右側にあります。
1968年に開館しました。

ここがチケットの販売所です。

博物館内は、想像していたよりかなり広く、普通に見て回ると半日かかるかもしれません。

博物館の見どころ
博物館の展示は非常に充実しています。
主な展示は
・聖人を描いた巨大宗教画
・スペイン植民地時代の芸術品
・修道士の生活用品
・アンティーク家具
・宗教書
など。
建物自体も17世紀の修道院建築で、
内部はまるでヨーロッパの修道院のような空間です。
中庭や回廊も美しく、
写真スポットとしても人気があります。

博物館内は、まるで、中世のお城のようです。

通路に飾られている絵画たちの多くは、宗教画です。

司祭の執務室で、木目調の落ち着いたトーンで、チェスなんかもおいてありました。

薬草とかの展示コ―ナもありました。
当時の医学を知る上でも面白い展示です。

司祭たちが利用していたと思われる部屋です。

最後の晩餐の絵画の下に、パンとワインが置いてあるところがななんかおしゃれです。

もともと図書館のようで、ここで神学について学んでいたんですね。


パイプオルガン
聖歌隊席には
巨大なパイプオルガンがあります。
これは数百年前に作られたもので、
現在も特別なミサやイベントで使用されることがあります。

楽譜のようなものが置いて、あってなにかに利用しているのでしょうか?

18世紀に造られたバロック式様式の祭壇です。

中庭(クロイスター)
博物館の中庭は
熱帯植物に囲まれた静かな空間。
スペイン修道院特有の
回廊式庭園(クロイスター)です。
イントラムロスの喧騒とは対照的な
落ち着いた場所です。

アクセス
マニラ中心部から
タクシー / Grab
マカティ
→ 約20〜30分
LRT利用
最寄駅
Central Terminal(LRT1)
徒歩
約15分
空港から
ニノイ・アキノ国際空港
→ 約30〜40分
Grab利用が最も簡単です。
イントラムロスの中で唯一、
戦争や地震を乗り越えて残った歴史的建造物。
それが
サン・アグスティン教会です。
マニラで唯一の世界遺産であり、
フィリピンのキリスト教文化の原点ともいえる場所。
さらに隣接する博物館では
スペイン植民地時代の歴史や宗教文化を詳しく知ることができます。
イントラムロス観光の中心ともいえる場所なので、
マニラを訪れたらぜひ時間を取って訪れてみてください。
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