地図で見ると、ミャンマーは日本から遠い国に見えます。
しかし実際に訪れてみると――
この国には、東南アジアでも最大級の仏教遺跡群が広がっています。
平原に並ぶ数千の仏塔。
赤土の大地に浮かぶ黄金のパゴダ。
そして、1000年近く続いてきた仏教信仰。
その中心にあるのが――
バガン(Bagan) です。
かつてこの地には 約1万基以上 の仏塔・寺院が建てられました。
現在でも 約2000基以上 の寺院が残る、世界最大級の仏教遺跡群として知られています。
そして2019年、ついに ユネスコ世界文化遺産へ登録されました。
バガン(Bagan)
2019年 ユネスコ世界文化遺産登録
11世紀〜13世紀に栄えた バガン王朝の都。
エーヤワディー川沿いの広大な平原に、数多くの寺院が築かれました。
バガンはしばしば 世界三大仏教遺跡 として紹介されます。
これは仏教文化を代表する巨大遺跡群として、旅行・歴史分野でよく挙げられる3つの遺跡です。
・バガン遺跡(ミャンマー)
・ボロブドゥール遺跡(インドネシア)

・アンコール遺跡(カンボジア)

バガンが長く世界遺産にならなかった理由
実は、バガンは長い間 世界遺産に登録されていませんでした。
理由は主に以下です。
- 軍事政権時代の開発
- 展望塔の建設
- ゴルフ場建設
- 遺跡内の道路整備
- ユネスコ基準に沿わない修復
これらが問題視され、1990年代の申請は却下されました。
さらに 2016年 ミャンマー地震 により、多くの寺院が被害を受けました。
その後、保存体制の改善が進み、2019年にようやく世界遺産登録が実現しました。
バガンの観光エリア
バガン遺跡群は非常に広く、主に次のエリアに分かれています。
ニャウンウーエリア

オールドバガンエリア

ミインカバーエリア

ミンナトゥエリア

今回はその中から ニューバガンエリア を紹介します。
ニューバガンはホテルやレストランが多い観光拠点のエリアですが、
ホテル周辺を歩くだけでも小さな仏塔が点在しています。
遺跡の中に街があるような不思議な感覚で、
散歩するだけでもバガンらしい景色に出会えます。
バガン観光の注意点
バガンは乾燥地帯にあり、
暑季(3〜5月)には気温40℃を超える日もあります。
そのため観光は
・早朝
・夕方
を中心に回るのがおすすめです。
また、多くの寺院では 裸足で入る必要があります。
日中は地面が非常に熱くなるため、
靴下を持参すると便利です。

(今回は現地ツアーで、サラトラベルのバガンツアーを利用しました。)
ニューバガン周辺には、小規模ながら美しい仏塔が点在しています。
ここでは実際に訪れた寺院を紹介します。
ローカナンダー・パコダ (Law Kananda Pagoda)
| 時間 | 3:00~22:00 |
| 料金 | 無料 |
バガン王朝の初代統一王 アノーヤター王(Anawrahta) によって
1059年に建立された仏塔です。
高さ約30mの黄金のパゴダで、
エーヤワディー川のほとりに建つ美しい寺院として知られています。
この寺院には、
スリランカ(当時のセイロン)からもたらされた
仏陀の歯舎利(仏歯)
が納められていると伝えられています。
当時のバガン王朝は上座部仏教を国家宗教として広めており、
この寺院もその信仰の象徴として建てられました。
また、エーヤワディー川の水運はバガン王朝の交易の生命線でした。
そのため、この黄金の仏塔は
航海する船の目印としても利用されていたと言われています。
夕方になると川に沈む夕日と黄金の仏塔が重なり、
バガンらしい風景を見ることができます。



エーヤワディー川は、雨季にはすごい水量になるそうです。

ペッレイ・パコダ (Petleik Pagoda)
| 時間 | 7:30~18:00 |
| 料金 | 無料 |
この寺院も アノーヤター王の時代(11世紀) に建てられた仏塔です。
特徴は
東ペッレイ・西ペッレイの2基の仏塔が並んでいること。
外観は比較的シンプルですが、
この寺院の価値は内部にあります。
基壇の内部には回廊状の空間があり、
壁面には
ジャータカ(仏陀の前世物語)
を描いた粘土レリーフが並んでいます。
その数は 約550枚 と言われており、
仏教説話を視覚的に伝えるための装飾でした。
当時は識字率が低かったため、
こうしたレリーフは 仏教教育の役割も果たしていたと考えられています。

また、この回廊部分は長い間土砂に埋もれており、
1905年に発掘されるまで存在が知られていませんでした。
そのため現在でも
修復途中の部分が残っています。

内部を見学するには
近くの管理人に頼んで鍵を開けてもらう必要があります。
回廊内部はかなり暗く、
通路も狭いためライトがあると便利です。


サイタナ・パコダ (Sitana Gyi Hpaya)
ニューバガンからさらに南に進んだ場所にある寺院です。
観光ガイドではあまり紹介されない場所ですが、
非常に美しい仏塔です。
黄金色に輝く仏塔と白い基壇のコントラストが印象的で、
青空の下では特に映える景観になります。
訪れたときは修復作業が行われており、
地元の人たちが仏塔の補修をしている様子を見ることができました。
バガンでは現在も多くの寺院が
少しずつ修復・保存作業を続けています。
そのため、こうした作業風景を見ると
バガンが今も信仰の場として生きていることを感じます。
また、この寺院は観光客が少なく、
静かな雰囲気で参拝できるのも魅力です。




サイタナ・パコダでは、ちょうど修復作業が行われていました。
バガンでは現在も多くの寺院で保存・修復が続けられており、その様子を撮影してみました。
バガンへのアクセス
ヤンゴン → バガン
飛行機:約1時間20分
航空会社
・Myanmar National Airlines
・Air KBZ
マンダレー → バガン
車:約4時間
バス:約5時間
ニャウンウー空港 → バガン市街
車:約15分
タクシー
約10,000〜15,000チャット
バガンは、東南アジア最大級の仏教遺跡群として知られる場所です。
平原に点在する数千の仏塔。
赤土の大地に浮かぶ黄金のパゴダ。
そして、1000年近く続いてきた仏教文化。
どこまでも広がる遺跡の景色は、
他の世界遺産ではなかなか見ることができない特別な体験です。
アンコール遺跡のような巨大寺院とは違い、
バガンの魅力は 「遺跡が風景そのものになっていること」 にあります。
自転車やeバイクで寺院を巡りながら、
ふと立ち止まると、視界の先にはまた別の仏塔が現れる。
そんな遺跡と日常が重なる景色が、
バガンならではの魅力です。
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