ジャイプール市街|世界遺産「ピンク・シティ」の歴史・見どころ・アクセスを徹底解説

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広大な国土と数千年に及ぶ歴史を背景に、古代文明・仏教・ヒンドゥー教
・イスラム王朝・植民地時代まで、さまざまな時代の文化や建築が現在も受け継がれていることこそ、
インドという国の大きな魅力です。

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しかし、今回紹介する世界遺産は、それらとは少し趣が異なります。

登録対象となっているのは、一つの宮殿や城塞ではなく、「都市そのもの」です。

ラージャスターン州の州都ジャイプールは、
18世紀に計画的に建設された城壁都市であり、
王宮や市場、寺院、住居が調和した歴史都市として、
現在も多くの人々が暮らしています。

碁盤の目状に整備された街路、統一感のある建物、
そして街全体を包む淡いピンク色の景観。

旧市街を歩いていると、世界遺産を見学しているというより、
歴史の中で人々の暮らしが今も続く王都を歩いているような感覚になります。

今回は、世界文化遺産「ジャイプール市街(Jaipur City, Rajasthan)」の歴史や見どころ、
代表的な建築、アクセス方法まで詳しく紹介します。

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ジャイプール市街(Jaipur City, Rajasthan)

ジャイプール市街(Jaipur City, Rajasthan)は、
インド北西部ラージャスターン州の州都ジャイプール旧市街を対象とするユネスコ世界文化遺産です。

1727年、ラージプート王国の君主サワーイー・ジャイ・スィン2世によって築かれたこの都市は、
古代インドの都市計画思想と天文学、実用性を融合させて設計された、
インドを代表する計画都市として知られています。

旧市街は堅固な城壁と七つの城門に囲まれ、
その内部には幅広い大通りを軸として王宮、寺院、市場、
住宅地が規則正しく配置されています。都市全体が機能的に設計されていることに加え、
商業や工芸の中心地として発展し続けてきた点も大きな特徴です。

1876年には、イギリス皇太子アルバート・エドワード(後のエドワード7世)の訪問を歓迎するため、
街並みが歓迎の色とされるピンク色に塗られました。

この景観は現在まで守られ、「ピンク・シティ」の愛称で世界中に知られています。

歴史的建造物だけでなく、市場や商店、
工房なども当時からの役割を受け継ぎながら現在も活気ある生活空間として機能しており、
歴史と人々の暮らしが自然に共存する都市景観が高く評価されています。

世界遺産に選ばれた理由

ジャイプールが世界遺産に登録された理由は、
18世紀に築かれた計画都市が現在まで極めて良好な状態で保存され、
都市としての機能を維持し続けている点にあります。

都市設計には古代インド建築思想「ヴァーストゥ・シャーストラ」が取り入れられ、
九つの区画を基本とした整然とした街並みが形成されました。

幅の広い道路や規則正しい街区は、防災や交通、
商業活動まで考慮された当時としては非常に先進的な都市計画でした。

また、王宮や寺院だけでなく、
市場や職人街も当時の役割を保ちながら現在も利用されています。

歴史遺産を保存するだけではなく、そこに暮らす人々の日常と歴史が共存していることが、
世界的にも高く評価され、2019年にユネスコ世界文化遺産へ登録されました。

歴史的背景

ジャイプール建設以前、この地域の中心都市は約11km北に位置する山岳要塞都市アンベール(Amber)でした。
しかし人口増加や水不足、さらなる経済発展への対応が難しくなったことから、
サワーイー・ジャイ・スィン2世は新たな王都の建設を決断します。

天文学や数学にも深い知識を持つ王は、
建築家ヴィディヤーダル・バッターチャーリヤとともに、
古代インド建築理論「ヴァーストゥ・シャーストラ」を取り入れた理想都市を設計しました。

計画的に整備された街路や市場は交易都市としても大きく発展し、
宝石加工、織物、金銀細工、エナメル細工などの伝統工芸が盛んになります。

19世紀後半には街全体が現在の象徴でもあるピンク色に統一され、
その美しい景観は今日まで受け継がれてきました。

実際に旧市街を歩いてみると、
観光のためだけに保存された歴史地区という印象はありません。

王宮のすぐ近くには市場が広がり、商店や工房が軒を連ね、
人々の生活が自然と歴史の中に溶け込んでいます。
約300年前に築かれた計画都市が今も息づいていることこそ、ジャイプール最大の魅力だと感じました。

シティ・パレス (City Palace)

住所:Tulsi Marg, Gangori Bazaar, J.D.A. Market, Pink City, Jaipur, Rajasthan 302002 インド

入場時間 9:30~17:00
定休日 無休*ホーリ祭りの日は、休業
入場料金 大人:400ルピー 子供:200ルピー 5歳以下無料

ジャイプール旧市街の中心に建つシティ・パレス(City Palace)は、
ラージャスターン地方を代表する王宮建築です。

1729年頃から建設が始まり、その後も歴代マハラジャによって増改築が繰り返されたため、
ラージプート様式を基調としながら、
ムガル建築やヨーロッパ建築の要素も取り入れた独特の景観が広がっています。

現在も一部はジャイプール王家の居住区として使用されており、
「生きた王宮」であることも、この宮殿ならではの特徴です。

一方で、多くの建物は博物館として公開され、
歴代マハラジャゆかりの品々や武具、衣装、絵画、調度品などを見学できます。

広大な敷地には中庭や迎賓館、謁見の間、美しい装飾門などが点在し、
一つひとつを巡るだけでもラージャスターン王国の豊かな歴史や文化を感じることができます。

私も実際に歩いてみましたが、
豪華な宮殿でありながら現在も王家の暮らしが続いていることに驚きました。

歴史遺産というより、今も王都の中心として息づく場所という印象が強く残っています。

ムバラク・マハル(迎賓館)(Mubarak Mahal)

宮殿へ入って最初に目を引くのが、美しい白亜の迎賓館「ムバラク・マハル」です。

19世紀末、マハラジャ・サワーイー・マダホ・スィン2世の時代に、
イギリス人建築家サミュエル・スウィントン・ジェイコブの設計によって建設されました。

「ムバラク」とはアラビア語で「祝福」や「歓迎」を意味し、
その名のとおり外国からの賓客を迎える迎賓館として利用されていました。

外観はヨーロッパ建築の優雅さとラージプート建築、
さらにイスラム建築の装飾美が見事に融合しています。

白大理石を基調とした軽やかな建物は、
繊細なバルコニーやアーチ、格子窓によって優美な印象を与えています。

現在は織物博物館となっており、歴代マハラジャや王族が身に着けた豪華な衣装、
金糸や銀糸で刺繍されたローブ、シルクやカシミヤの伝統衣装などが展示されています。

細部まで丁寧に仕立てられた衣装を眺めていると、
ラージャスターン王国がいかに豊かな文化と高い技術を持っていたのかがよく伝わってきました。

ラジェンドラ門(Rajendra Pol)

ディワーネ・カース近くにあるラジェンドラ門は、シティ・パレスを代表する撮影スポットの一つです。

繊細なレリーフや鮮やかな彩色が施された門は、
ラージャスターン地方らしい華やかな装飾が特徴で、王宮の優雅な雰囲気を象徴しています。

門をくぐると、美しく整えられた中庭が広がり、
その周囲には歴史ある宮殿建築が並びます。

現在も王家の居住区へ続く重要な門でもあり、
一般公開エリアと王家の私的空間をつなぐ役割を担っています。

写真映えするだけでなく、歴史ある王宮に現在も王族が暮らしていることを実感できる場所でもあります。

ディワーネ・カース(Diwan-i-Khas)

ムバラク・マハルを見学した後は、ディワーネ・カースへ向かいます。

ここは「貴賓謁見の間」と呼ばれ、
マハラジャが外国の使節や重要な来客と面会した格式高い建物です。

白い大理石の柱が並ぶ広間は開放感があり、
シティ・パレスの中でも特に威厳を感じられる空間となっています。

建物内部には美しいシャンデリアや豪華な装飾が残され、
王国の外交や公式儀式が行われた当時の様子を今に伝えています。

ここでは王国の権威だけでなく、
ラージャスターン地方が交易や外交の拠点として栄えていた歴史も感じることができます。

銀の壺(Gangajali Silver Urns)

ディワーネ・カースでひときわ存在感を放つのが、
純銀で造られた巨大な壺「ガンガージャリ(Gangajali Silver Urns)」です。

1902年、マハラジャ・サワーイー・マダホ・スィン2世がイギリスで行われたエドワード7世の戴冠式へ出席する際、
ヒンドゥー教の戒律に従い、ガンジス川の聖水だけを飲めるよう、この壺に聖水を入れて海を渡ったと伝えられています。

高さは約1.6m、重さは約340kg。

純銀約14,000枚を継ぎ目なく加工して造られた世界最大級の銀製品であり、
ギネス世界記録にも認定されています。

巨大な壺を目の前にすると、その圧倒的な存在感と職人技術の高さに思わず見入ってしまいます。
シティ・パレスを訪れたなら、ぜひ見逃したくない展示の一つです。

チャンドラ・マハル(Chandra Mahal)

シティ・パレスの中心にそびえるチャンドラ・マハル(月の宮殿)は、
約35mの高さを誇る7階建ての宮殿です。

現在もジャイプール王家の居住区として利用されているため、
大部分は一般公開されていませんが、その優雅な外観はシティ・パレスの象徴として親しまれています。

各階にはそれぞれ異なる名称と役割が与えられ、
王族の生活空間や儀式の場として使用されてきました。

宮殿で特に有名なのが、四季を表現した四つの装飾門です。

中でも孔雀をモチーフにした「ピーコック・ゲート(Peacock Gate)」は、
鮮やかな青や緑のモザイクで彩られ、シティ・パレスを代表する撮影スポットとして高い人気を集めています。

春・夏・秋・冬を象徴する色彩や植物、動物の装飾には、
それぞれヒンドゥー教の神々や自然への信仰が込められており、
ラージャスターン地方の豊かな芸術文化を象徴する傑作といえるでしょう。

繊細な装飾を眺めながら歩いていると、王宮そのものが巨大な美術館のように感じられ、
当時のマハラジャたちが築いた王都の豊かさを改めて実感することができました。

風の宮殿 (Hawa Mahal)

住所:Hawa Mahal Rd, Badi Choupad, J.D.A. Market, Pink City, Jaipur, Rajasthan 302002 インド

営業時間 9:00~17:30
定休日 無休
入場料金 50ルピー (7歳以下無料)

ジャイプールを象徴する建築として知られる風の宮殿(ハワー・マハル)は、
1799年にマハラジャ・サワーイー・プラタープ・スィンによって建設されました。

設計を手掛けたのは建築家ラール・チャンド・ウスタード。

シティ・パレスの一部として築かれたこの宮殿は、
女性たちのための特別な空間として造られました。

高さ約15mの五階建ての建物には、953枚もの小窓(ジャローカ)が規則正しく並び、
その優美な姿はジャイプールを代表する景観として世界中の旅行者を魅了しています。

「風の宮殿」という名前の由来は、この無数の小窓から取り込まれる風にあります。

細かな格子窓を通り抜ける風が建物内を自然に循環し、
真夏には40℃を超えることもあるラージャスターンの暑さを和らげる工夫が施されていました。

美しい外観だけでなく、高温で乾燥した気候に適応した優れた環境建築でもあり、
18世紀の建築技術の高さを今に伝えています。

建設の最大の目的は、王宮で暮らす女性たちが外から姿を見られることなく、
祭礼やパレード、市場のにぎわいを眺められるようにすることでした。

当時の王侯社会では「パルダ(Purdah)」と呼ばれる慣習があり、
身分の高い女性は人前で顔を見せないことが一般的だったためです。

外からは見えにくく、中からは街の様子を見渡せる格子窓は、
その文化を反映した象徴的な建築といえるでしょう。

正面から見ると壮麗な五階建ての宮殿ですが、
実際には奥行きはそれほど深くなく、
細長い回廊や小部屋が幾重にも続く独特の構造となっています。

内部を歩きながら小窓越しに旧市街を眺めていると、
約200年前、王宮の女性たちも同じように市場や祭りを眺めていたのではないかと想像が膨らみます。

外観はヒンドゥー教の神クリシュナが身に着ける王冠をイメージして設計されたともいわれ、
赤砂岩とピンク色の砂岩が織り成す優雅なデザインは、「ピンク・シティ」を象徴する存在です。

私が訪れたときも、多くの観光客が宮殿前で足を止め、
無数の小窓が生み出す美しい幾何学模様に見入っていました。

内部を見学するのもおすすめですが、ハワー・マハル本来の美しさを味わうなら、
通りの反対側にあるカフェや展望スペースから全景を眺めるのがおすすめです。

朝日を浴びて淡いピンク色に輝く姿は、ジャイプールを代表する風景の一つとなっています。

アクセス

ジャイプールは、デリーから鉄道で約4〜5時間です。

ニューデリー駅(New Delhi Railway Station)からは、
ヴァンデ・バーラト・エクスプレス(Vande Bharat Express)や
シャターブディー・エクスプレス(Shatabdi Express)などの特急列車が運行しています。

ジャイプール・ジャンクション駅(Jaipur Junction)から旧市街までは約5kmで、
タクシーやUber、OLA、オートリキシャで約15〜20分です。

デリー・アーグラから車・長距離バスでアクセス

ジャイプールは、デリー・アーグラと並ぶ「ゴールデン・トライアングル」を構成する人気観光都市です。

デリーからは約280kmで車や観光バスで約5〜6時間、
アーグラからは約240kmで約4〜5時間です。

途中には世界遺産ファテープル・スィークリーがあり、
3都市を巡るルートは北インド観光の定番コースとなっています。

ジャイプール国際空港からアクセス

ジャイプール国際空港(Jaipur International Airport)は、
旧市街から約12km南に位置しています。

空港から市内まではタクシーやUber、OLAを利用して約30〜40分です。
オートリキシャも利用できますが、乗車前に料金を確認しておくと安心です。

旧市街の移動方法

世界遺産に登録されている旧市街は比較的コンパクトで、
シティ・パレス、風の宮殿、ジャンタル・マンタルなどの主要スポットは徒歩で巡ることができます。

暑い時期は徒歩とオートリキシャ、Uber、OLAを組み合わせると効率よく観光できます。

旅の終わりに

ジャイプール市街は、一つの建築物ではなく、「街そのもの」が世界遺産に登録された歴史都市です。

シティ・パレスや風の宮殿などの名所を巡るだけでなく、
市場を歩き、人々の暮らしに触れることで、
約300年前に築かれた計画都市が現在も息づいていることを実感できます。

デリーやアーグラとは異なるラージプート文化ならではの街並みも、
ジャイプールならではの魅力です。

北インドの世界遺産を巡るなら、
ぜひ旧市街をゆっくり歩き、この街が受け継いできた歴史と文化を感じてみてください。

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