ハイファは、1世紀にローマ軍のヴェスパスィアヌスにより軍事駐屯地として造られた町です。
その後に十字軍に壊滅され、時代を経て再生してきました。
現在はイスラエル第三の都市として知られていますが、実際に歩いてみると、
坂の多い街並みの中に港町らしい開放感と、
長い歴史をくぐり抜けてきた土地の重みが同居しているように感じます。
そんなハイファのランドマーク的な存在が、
カルメル山の斜面に広がるバハーイ庭園と、金色のドームが印象的なバーブ廟です。
ハイファ及び西ガリラヤ地方のバハイ聖地群(Bahá’i Holy Places in Haifa and Western Galilee)
2008年に世界文化遺産に登録されています。
この世界遺産は、ハイファと西ガリラヤ地方に残るバハーイ教の重要な聖地群によって構成されています。
ハイファには、金色のドームで知られるバーブ廟と、その周囲に広がるバハーイ庭園があります。
一方で、アッコー近郊には、バハーオッラーの家や墓廟が残されており、
信仰の中心地として大切に守られてきました。
新宗教の宗教施設としては世界初の登録とされており、
近代に成立した宗教の聖地が世界遺産として評価された点でも印象に残る存在です。
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世界遺産に選ばれた背景
18世紀から19世紀にかけて、イランで起こったバーブ教は、
当時の社会の中で反イスラム的と見なされ、厳しい迫害を受けました。
指導者であるバーブは処刑され、その後を継いだバハーオッラーもまた冷遇され、
オスマン朝によってアッコーに幽閉されました。
そのような苦難の歴史を経ながらも、信徒たちは聖地を守り続け、
ハイファにはバーブ廟、アッコー近郊にはバハーオッラーの家や墓廟が残されました。
迫害の歴史と信仰の継承、その両方を今に伝える場所として、この聖地群は世界遺産に選ばれています。
歴史背景
ハイファは、1世紀にローマ軍のヴェスパスィアヌスにより軍事駐屯地として造られた町と伝えられています。
その後、十字軍によって大きな被害を受け、壊滅的な時代も経験しましたが、時代を経て再生してきた港町です。
実際に街を歩いてみると、近代的な都市の表情がありながら、斜面の先に広がる宗教施設や旧市街の空気に、
この土地が何度も歴史をくぐり抜けてきたことを感じます。
その中でバハーイ庭園とバーブ廟は、今のハイファを象徴する風景として強い存在感を放っています。
バハイ教とは?
バハイ教は、19世紀のペルシャ、現在のイランで確立された現代の一神教です。
信者は唯一の神を崇拝し、世界の主要な宗教はすべて同じ神聖な源泉から生まれたと信じています。
バハイ教は、神の一体性、すべての宗教の本質的な一体性、そして人類の連帯という中核的な教義の上に成り立っています。
また、すべての人類がひとつの家族であり、人種、国籍、階級の壁は理解と奉仕を通して乗り越えなければならないことを強調し、
男女の平等も重要な原則としています。
あらゆる偏見を排除し、教育と正義を重視する点も大きな特徴で、
現地を歩いていると、庭園全体に流れる整った空気の中に、こうした思想が反映されているようにも感じられました。
バハーイ庭園(Bahá’í Garden)
住所:Yefe Nof St 61, Haifa, イスラエル
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 時間 | 9:00~17:00 |
| 定休日 | 月曜日(バハーイー教の祝日は変動の可能性があります) |
| 料金 | 無料 |
| 公式URL | https://ganbahai.org.il/ |
バハーイ庭園は、カルメル山の北斜面まで伸びる19のテラスの階段で構成されており、
中央のテラスには、金色のドーム型をしたバブの神殿が立っています。
高い場所から眺めると、庭園の線が驚くほど整っていて、
その先にハイファの街、ガリラヤヒルズ、地中海までが一続きに広がって見えます。
美しい庭園として有名な場所ですが、実際に入ってみると、観光名所というよりも、
今も大切に守られている祈りの場に入っていく感覚のほうが強く残りました。
見た目の華やかさと、宗教施設らしい静けさの両方があるのが、この場所の大きな特徴です。
見どころ
見学スポットとしては、上から見下ろすポイントと、黄金のドーム型のエリアから入る場所の2か所があります。
両方まわる場合は、私は歩きましたが、高低差があるため、タクシーかバスの利用をおすすめします。
上から見る景色と、下から実際に庭園へ入ったときの印象はかなり異なります。
遠景では全体の構図の美しさが際立ち、近くで歩くと植栽や石段の手入れ、宗教施設としての緊張感がより伝わってきます。
時間に余裕があれば、両方を見ることでこの場所の魅力がより立体的に感じられます。
上から眺めるポイント
上からの入場エリアは、ローズガーデンの側になります。
ここは、ハイファの街並みとバハーイ庭園全体を見下ろせる代表的なポイントです。
入場料は無料ですが、手荷物検査はしっかりあります。
実際に立ってみると、まっすぐ海へ向かって落ちていくようなテラスの構成が非常に美しく、
中央の黄金のドームが風景全体の焦点になっています。
とにかく上からの眺めが絶景なので、ハイファに立ち寄った時で、
時間がない方は、まずこの上のエリアに行くのがおすすめです。




黄金ドームのエリア
黄金ドーム付近からは、この地図で示した場所に入場口があります。
ここも手荷物検査がしっかりされます。
中に入ると、手入れされた美しい庭園が広がっていて、外から見下ろしていたときとはまた違った静けさがあります。
金色のドームは近くで見るほど存在感があり、単なる景観の一部ではなく、
信仰の中心として守られてきたことが伝わってきます。
観光客がいても騒がしい雰囲気にはなりにくく、自然と声を落として歩きたくなるような空気が流れていました。





無料ツアー
事前に予約すれば、無料でガイドしてもらえるツアーもあります。
公式URLから申し込むことが可能です。
火曜日から日曜日までの予約制のガイド付きツアーで、所要時間は50分です。
チャージは無料です。
セルフガイド訪問は09:00から17:00までで、日曜日から土曜日までという案内があります。
ただ歩くだけでも十分きれいな場所ですが、
宗教的背景や庭園の意味まで知りたい方は、ガイド付きのほうが理解しやすいと思います。
見学時の注意点
服装は、肩を覆い、膝まで届くものが案内されています。
小石の小道や、ときどき滑りやすい舗装があるため、歩きやすくグリップのある靴がおすすめです。
夏の間は、帽子と日焼け止めを持参しておくと安心です。
食べ物と飲み物については、ボトル入り飲料水は持参できますが、
他の飲み物を飲んだり、食事をしたり、ガムを噛んだり、喫煙したりすることは庭園内では許可されていません。
また、急な斜面のため、ツアーではベビーカーを使用できません。
ツアー中はトイレが利用できない案内もあるため、見学前に済ませておくと安心です。
その他、動物や武器の持ち込みは禁止されています。
何らかの理由で予約をキャンセルしたい場合は、他の人が訪問できるように、
電子メールまたは電話で予約の日時を知らせるよう案内されています。
アクセス
一般的な玄関口はテルアビブのベン・グリオン国際空港です。
空港からハイファ市内へは鉄道利用がわかりやすく、所要時間はおおむね1時間30分前後です。
ハイファ市内に着いたあとは、市バスかタクシーでバハーイ庭園方面へ向かいます。
上から眺めるポイントを目指す場合はYefe Nof通り周辺がわかりやすく、
黄金ドーム側へ行く場合は別の入口になるため、先にどちらを優先するか決めておくと動きやすいです。
両方見たい場合は高低差が大きいため、徒歩だけにこだわらず、
現地でタクシーやバスを組み合わせると効率よく見学できます。
ハイファで感じたこの場所の魅力
バハーイ庭園は、写真で見ても十分きれいな場所ですが、実際に行ってみると、
景色の美しさだけでは終わらない印象が残ります。
上から見たときの整った景観はもちろん印象的ですが、黄金ドームの近くまで行くと、
祈りの場としての静けさも強く伝わってきます。
迫害を受けながらも受け継がれてきた信仰の歴史を知ったうえで歩くと、
この場所の見え方はさらに深くなります。
ハイファを訪れるなら、短時間でも立ち寄る価値のある世界遺産です。


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