インドには 2026年現在、
文化遺産34件・自然遺産7件・複合遺産1件、合計42件 の
ユネスコ世界遺産が登録されています。
広大な国土と、数千年に及ぶ歴史を背景に、
古代文明・仏教・ヒンドゥー教・イスラム王朝・植民地時代まで、
異なる時代の遺産が同時に存在している――
それが、インドという国の最大の特徴です。
北インド・アーグラ周辺に目を向けると、
この地は単なる観光都市ではなく、
ムガル帝国の栄華と終焉を見届けた歴史の舞台 であったことが分かります。
その象徴とも言える存在が、
ヤムナー川を挟んで向かい合う、
2つの世界遺産です。
▶︎ タージ・マハル完全ガイド|世界一美しい墓に込められた皇帝の愛
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/india/agra-sightseeing/taj-mahal/
白大理石で築かれたタージ・マハルが
「皇帝の愛」を象徴する建築であるなら、
今回紹介する アーグラー城(Agra Fort) は、
「皇帝の権力と、その終わり」を象徴する場所 と言えるでしょう。
住所:インド 〒282003 Uttar Pradesh, Agra, Rakabganj, アーグラ・フォート
1983年 ユネスコ文化遺産に登録
| 時間 | 日の出から日没まで |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 600ルピー(A.D.Aチケットは、タージ・マハルで一度払えば同日入場に限り不要となり、250ルピー) |
| 公式URL | https://www.agrafort.gov.in/indexNew/index.html |
*100ルピー=145円程度
アーグラー城は、
第3代皇帝 ジャラールッディーン・アクバル により
1565年、王の居城として築かれました。
赤砂岩で構成された巨大な城塞は、
ムガル帝国が最盛期へと向かう時代の
政治的・軍事的中枢 であり、
皇帝権力そのものを象徴する存在でした。
一方でこの城は、
ムガル帝国後期の運命を静かに物語る場所でもあります。
タージ・マハルを建立した
第5代皇帝 シャー・ジャハーン は、
息子アウラングゼーブによってこの城に幽閉され、
8年間、対岸に完成したタージ・マハルを望みながら
74歳で生涯を終えました。
城内に広がる壮麗な宮殿群は、
その栄華とともに、
帝国の終章を今に伝えています。
現在の観光ルートの入口となる城門。
防御を重視した設計で、
通路は直進できないよう折れ曲がった構造になっています。
城内へ一歩足を踏み入れると、
外の喧騒とは切り離された、
別の時間が流れる空間が広がります。
フマユーン廟に代表される
イスラム建築とヒンドゥー建築が融合した「アクバル様式」 を示す宮殿。
内部に入ると、
赤砂岩で造られた壁面や柱が、
まるで木造建築のような柔らかさ を感じさせます。
もともとは木造でしたが、
シャー・ジャハーンの時代に白大理石造り へと改築されました。
皇帝が臣下や民衆と対面した、帝国政治の表舞台 です。
第5代皇帝シャー・ジャハーンの
妻と娘たちの居住区。
白大理石で統一された建物は、
城内でも特に静謐で、私的な空気を感じさせます。
「ゴールデン・パビリオン」と呼ばれる
子どもたちの寝殿跡も残されています。
シャー・ジャハーンが
8年間幽閉されていたとされる場所。
ここからは、
ヤムナー川を挟んでタージ・マハルを望むことができます。
アーグラー城を象徴する、最も印象的なスポットのひとつです。
中の壁面には、象嵌が施さています。
※通常は非公開
タージ・マハルとアーグラー城は、
歴史的にも、空間的にも深く結びついた2つの世界遺産 です。
時間に余裕があれば、
城内をゆっくりと歩きながら、
当時の皇帝たちが見ていた風景に
思いを巡らせてみてください。
夜には
音と光のショー が開催され、
ムガル帝国の歴史を
演出とともに知ることもできます。
昼間とは異なる表情を体験したい方には、
あわせておすすめです。