ストゥーパとは、
もともと仏陀の遺骨(仏舎利)を納めた塚に由来する建造物で、
仏教世界における最重要モニュメントのひとつです。
仏教には、仏陀の生涯に深く関わる
「四大聖地」と呼ばれる場所が存在します。
中でも、仏陀がこの世に誕生した地として知られる ルンビニー については、
▶︎ ルンビニー完全ガイド|仏陀生誕の地を歩く
https://weekend-abroad-travelers.com/asia-oceania/nepal/lumbini-sightseeing/lun-bini/
で、遺跡構成や見どころ、現地の雰囲気を詳しく紹介しています。
これら四大聖地は、
上座部仏教の根本経典である『大般涅槃経』にも、次のように記されています。
アーナンダよ。
忠実な人々の感情を喚起させる四つの場所がある。「ここで如来が生まれた」
「ここで如来は悟りを得た」
「ここで如来は法を説いた」
「ここで如来は涅槃に入った」
今回ご紹介する サールナート(Sarnath) は、
仏陀が悟りを開いた後、かつて共に修行していた五人の修行者に向けて、
初めて仏教の教義を言葉として説いた場所です。
サールナートは、
インド北部・ウッタル・プラデーシュ州、
聖地バナーラス(ヴァーラーナシ)から北へ約10kmの位置にあります。
古くは鹿が多く生息する森であったことから、
「鹿野苑(ろくやおん)」とも呼ばれてきました。
ここで仏陀は、
苦行を捨て、中道によって悟りを得た真理を、
最初に五人の修行者へ語ります。
この最初の説法こそが、
「初転法輪(しょてんぼうりん)」です。
この地で語られた教えは、
やがてインド全土からスリランカ、東南アジア、中国、そして日本へ――
世界宗教・仏教の礎として広がっていきました。
仏陀がサールナートで説いた教えは、
現在の仏教思想の根幹をなす、次の三つに集約されます。
苦から解放されるための真理
快楽主義と苦行主義、どちらにも偏らない生き方
苦を滅するための具体的な実践指針
これらの思想が、
初めて「言葉」として人々に伝えられた場所、
それがサールナートなのです。
下は、サルナートの案内図です。
住所:Dharmapala Rd, Singhpur, Sarnath, Varanasi, Uttar Pradesh 221007 インド
| 時間 | 日の出から日没まで |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 300ルピー |
*100ルピー=145円程度
直径約26m、全高約43.6mを誇る巨大なストゥーパ。
6世紀、アショーカ王によって建立されたと伝えられています。
ここは、
仏陀が五人の修行者に初転法輪を説いた中心地点と考えられています。
ストゥーパとは、
もともと仏陀の遺骨(仏舎利)を納めた塚に由来する建造物で、
仏教世界における最重要モニュメントのひとつです。
現在は柱の一部のみが残されていますが、
かつては柱頭に四頭の獅子像が据えられていました。
この獅子柱頭は、
現在 サールナート考古学博物館 に保管されており、
インド共和国の国章のモチーフにもなっています。
住所:Saranth Station Rd, Pandeypur, Sarnath, Varanasi, Uttar Pradesh 221007 インド
| 時間 | 日の出から日没まで |
| 定休日 | なし |
| 料金 | 無料 |
1931年、スリランカ人僧侶ダルマパーラ師によって建立された寺院。
この寺院は、日本と非常に深い縁を持っています。
内部の壁画を描いたのは、日本人画家 野生司香雪。
1932年から1937年にかけて、
ブッダの誕生から入滅までの生涯が、壮大なスケールで描かれています。
また、境内の菩提樹は、
スリランカの世界遺産・アヌラーダプラにある
スリーマハー菩提樹の分枝。
ここサールナートでも、
インドとスリランカ、そして日本をつなぐ仏教の系譜を感じることができます。
5人の修行者に、説法(初転法輪)を説いている像。
サールナートは、
現在ユネスコ世界遺産には登録されていません。
しかし、
と並び、
インド仏教史を語るうえで欠かすことのできない最重要聖地として、
インド政府・考古学調査局(ASI)により厳重に保護されています。
世界遺産かどうかを超えて、
「仏教が始まった場所」という価値は揺るぎません。
サールナートは、バナーラス観光とセットで訪れる人が多い場所です。
ただし、夏季(4〜6月)は40℃を超える酷暑になることも珍しくありません。
サールナートは、
派手な建築や装飾がある場所ではありません。
しかしここには、
人類史に残る思想が最初に語られた「静かな原点」があります。
ガンジス河畔の喧騒から少し離れ、
鹿野苑の風を感じながら、
仏教が生まれた瞬間に思いを馳せてみてください。