Categories: バンコクの観光

ヤワラート寺院めぐり!MRTワットマンコン駅を中心にエリア別に徹底解説 (南エリア:ワット・マンコン・カマラワート編)

バンコク中華街・ヤワラートには、古い中華寺院からタイ仏教寺院、そして慈善施設まで、多種多様な宗教文化が濃縮されています。
ただ、Googleマップを見ると路地が複雑で、「どれがどの方向にあるかわかりにくい!」という声を非常によく聞きます。

ワットマンコン駅を基点にすると、ヤワラートの寺院は 南・北・北東・東・西 に特徴的な塊で広がっています。
各エリアには、宗教・歴史・街並みの“個性”があり、歩くだけで雰囲気がガラッと変わるのがヤワラートの魅力です。
では、方角ごとに詳しく見ていきましょう。

【北東エリア】: 観音信仰と慈善文化が息づく“静かな華僑地区”

賑やかなヤワラートの雰囲気から少し離れ、地元の華僑が多い落ち着いた住宅街 に入ります。
このエリアには、観音信仰と慈善を象徴する重要寺院が並びます。

  • 南海觀音宮(Nang Hai Guan Yin Shrine)
  • 華僑報徳善堂(Po Tek Tung Foundation)
  • 泰洪港大廟 本堂(San Chao Tai Hong Kong)
  • 呂帝廟(Lue Ti Miao / 呂祖廟)

【北エリア】: 中華街最古の歴史が残る“古寺エリア”

ヤワラートの中でも特に歴史ある寺院が密集で、潮州系・広東系の古寺が多く、非常に文化価値の高いエリア です。

  • レン・ボァイ・イア(龍尾廟 / Leng Buai Ia)
  • サーンチャオ・クワーントゥン(広東寺)
  • ワット モンコン サマーコム(Wat Mongkon Samakom)

【東エリア】: 黄金仏が輝く“ヤワラート東端の象徴”

中華色より「観光名所」寄りの明るいエリアです。

  •  ワット・トライミット(黄金仏寺 / Wat Traimit)

【南エリア】: 中華街の中心。祭りと熱気の“宗教コアゾーン”

ワットマンコン駅の南側は、ヤワラートの宗教文化が最も凝縮されたエリアです。
祭り期間には参拝者で埋め尽くされ、中華街らしさの真骨頂 が味わえます。

  • ワット・マンコン・カマラワート(Wat Mangkon Kamalawat)

【南西エリア】: 静かに佇む“タイ仏教寺院ゾーン”

中華色の強いヤワラートの中でも、南西は タイ仏教の落ち着き が感じられるエリアです。

  • ワット・カニカピロム(Wat Khanikaphon)

【南東エリア】:商業×寺院が混在する中間地帯

「中華街:ヤワラート」と「タイ人街:サムパンタウォン」の文化がちょうど交差する位置にあるエリアです。

  • ワット・サムパンタウォン(Wat Samphanthawong Saram Worawihan)

今回は、南エリアを紹介します。

スポンサーリンク

ワット・マンコン・カマラワート (龍蓮寺)(Wat Mangkon Kamalawat)

住所:423 ถ. เจริญกรุง Pom Prap, Pom Prap Sattru Phai, Bangkok 10100 タイ

時間 8:00~16:30 *土日のみ17:30まで
定休日 無休
料金 無料

ワット・マンコン・カマラワート(龍蓮寺)は、バンコク最大の中国仏教寺院 であり、ヤワラートの“宗教・文化の心臓部”といえる存在。華僑の間では「お寺に行く=龍蓮寺へ行く」と言われるほど、圧倒的な信仰を集めています。

創建:1871年(ラーマ5世時代)で潮州(Teochew / 潮汕)系華僑の僧侶たちによって建立されます。
寺名「Mangkon」は “龍”、「Kamalawat」は “蓮の池” を意味し、「龍と蓮の力が宿る寺」 として開運の象徴とされています。

現在は、タイ全土の中国仏教寺院の中でも“第一級寺院”として認められ、毎年の旧正月・中元節(鬼の門が開く日)・菜食祭
では大混雑します。

入り口には9階建てのシノ・タイスタイルの建物がそびえていて、右横には東西南北それぞれの神様を祀る礼拝堂、
真正面にはご本尊である3体の釈迦如来像とともに58体の神々が祀られる本堂があります。
個人的は、入口の建物は、千と千尋の神隠しに出てくる建物にも見えました。

東南アジアの中でもまれに見る中国南部の寺院伝統建築方式といわれています。

本堂(大雄宝殿)

本堂に入ると左右に4体の武神が並んでいます。
密教においては十二天の一尊でこの四天王が東西南北を守護するとされ、寺院の入口付近を配置するのが一般的みたいです。

下の写真が、多聞天は日本では毘沙門天、そして、持国天です。

そして、増長天、もう一体は広目天です。

龍蓮寺の最大の魅力は、「仏教」「道教」「民間信仰」がひとつの境内に共存すること。

ここでは代表的な神々とその意味をご紹介。

  • 三尊仏(釈迦・阿弥陀・薬師)釈迦如来:心の平安・智慧・阿弥陀如来:救済・死後の安寧・薬師如来:健康・病気平癒
  • 観音菩薩:慈悲と救済の象徴。女性や子供の守護も強い。
  • 閻魔(地蔵王菩薩):亡者・先祖供養・業の浄化。華僑の供養文化の中心となる祠。
  • 文昌帝君(学問の神):試験・昇進・事業成功・勉強運・学生やビジネスマンに超人気。
  • 太歳(干支の神):毎年、自分の干支の太歳を祀るとその年のトラブルを防ぐと信じられる。
  • 神(武財神):金運・商売繁盛の中心神。ヤワラート商人の信仰が最も厚い。

ご利益

龍蓮寺はすべてのエリアの中でご利益の総合力が最も強い寺 と言われる。

  • 金運・商売繁盛(最強クラス)財神・関帝(義と商売の守護)・龍の気
    ⇒ヤワラートの商売人が必ず参拝する理由。
  • 厄除け・浄化:巨大線香の煙・地蔵王菩薩・太歳祠
    ⇒“悪い流れが断ち切れる寺” と地元で言われる。
  • 供養・先祖の守り閻魔殿の存在により供養パワーが強力。
  • 健康運・無病息災薬師如来・観音菩薩を祀ることで厚いご利益。
  • 家庭運・子供運観音殿が女性・子供の守護となる。

龍蓮寺の厄除けは、線香で身を清め、本堂 → 閻魔殿 → 太歳殿 → 観音殿 → 財神殿の順に祈り、
最後に紙金を炉で燃やすという独特の儀式で、悪い流れを断ち切り、心と運気を整える力が強いと、
地元華僑から絶大な信頼を集めています。


中国占星術では、その年の太歳星(タイスイ)と干支が衝突すると運気が乱れるとされています。
タイの中華寺院では、運気を整えるために太歳への祈願を行います。
太歳のご利益(厄除け・事故や病気の回避・仕事のトラブルを避ける・家庭の平和・一年の運気を安定させる)
龍蓮寺の太歳はバンコクで最も信頼されていると言われます。

ワット・マンコン・カマラワート(龍蓮寺)の “太歳(たいさい)祈願・厄除け受付所があり、
その年の厄(本命太歳・冲太歳)を払うことができます。

ワット・マンコン・カマラワートの厄除けの方法

お札を入口で購入します。

お札を記載する部屋があるので、そちらで名前等を記入します。
記載する内容は、①名前⓶年齢③生まれた日④月⑤年⑥生まれた時間です。

下の表は、年齢比較表です。

3.記載したお札を持って、「不運を変える助けとなるタイ・スーアイ・エイア」とところへ行きます。【本堂の右側】
下の写真のピンクのベールをかぶった一番右側の神様が、タイ・スーアイ・エイアです。

4.敬意を払って、お札を頭から下に向かって13回の念じながら繰り返しながら厄を払いのけるように念じます。

5.終了したら近くに箱があるので、そこにお札を置いて終了となります。

58体の仏像がいろいろな場所に設置されています。

ヤワラートの中心に堂々と立つワット・マンコン・カマラワートは、ただの観光名所ではなく、
旅の疲れを祓い、心を整えてくれる“力のある寺”でした。

赤い提灯と線香の香りに包まれた境内で、本堂・地蔵王菩薩・太歳殿へと順番に手を合わせると、
まるで体の奥に積もった曇りが静かに消えていくような感覚になります。

線香の煙で身を清め、紙金を燃やして厄を手放す――
この龍蓮寺ならではの厄除けの儀式は、ヤワラートの喧騒の中にあっても
不思議と穏やかな時間を生み出し、旅の流れを優しく整えてくれます。

参拝を終えて外へ出ると、にぎやかな中華街の音さえも、どこか祝福のように感じられるから不思議です。

“願いが届く寺・厄が落ちる寺”として深く信仰されてきたワット・マンコンは、
ヤワラートの旅を締めくくるのにこれ以上ない一寺。

ここで厄を祓い、静かに祈りを捧げたその瞬間、旅はより鮮やかに、
そして力強く心に刻まれます。



Wandering Traveler