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世界遺産「マラッカ海峡の歴史的都市群」 ジョージタウン邸宅散策 Part3~プラナカン・マンションと青の宮殿で知る海峡華人文化

ジョージタウンを歩き慣れてくると、
この街が“暮らしの中で育ってきた世界遺産”であることが、
少しずつ実感できるようになります。

交易で成功した人々が築いた邸宅には、中国、マレー、西洋の文化が溶け合い、
この街ならではの美意識が息づいています。

鮮やかな装飾に包まれたプラナカン・マンション。
風水と建築技術が融合した、青い外壁のチョンファッツィ・マンション。
どちらも、豪華さだけでなく、家族や祖先、そして未来への想いが込められた住まいです。

このPartでは、2つの邸宅を訪ねながら、
ジョージタウンが育んできた
暮らし・文化・美の集大成に触れていきます。

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マラッカ海峡の歴史的都市群:ムラカとジョージタウン (Melaka and George Town, Historic Cities of the Straits of Malacca)

2008年に世界文化遺産に登録

マラッカとジョージタウンは、600年以上にわたる東西交易の重要港として栄えました
マラッカは14世紀末に建国され、ポルトガル、オランダ、イギリスの支配を経験し、約400年前の町並みを今に残しています。
また、ジョージタウンは18世紀後半にイギリスの植民地として発展し、多民族文化の中心地となりました。
両都市には、コロニアル時代の建築物や、マレー、中国、インド、ヨーロッパの影響を受けた独自の建築群が残されており、
特にジョージタウンでは、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教の宗教施設が一つの通りに共存し、
多様な文化の調和を象徴しています。

プラナカンマンション(Peranakan Mansion)

住所:29, Church St, Georgetown, 10200 George Town, Penang, マレーシア

時間 9:30~17:00
料金 大人:RM20 6~12歳:RM10 6歳以下は無料
定休日 無休

プラナカン文化(ニョニャ文化) を色濃く伝える、ジョージタウンで最も有名な邸宅型博物館のひとつ。
19世紀末〜20世紀初頭、海峡植民地(英領)時代に繁栄した ババ・ニョニャ(中華系移民×マレー文化が融合した民族) の豪奢な暮らしぶりを、今に伝える貴重な建物です。

邸宅は、19世紀に建てられた富豪 カピタン・チョン・ケン・キー(Kapitan Chung Keng Quee)邸 を改装したもので、
内部には 約1,000点以上 の骨董・装飾品・宝飾品が展示されています。

 プラナカン・マンションの見どころ

① エメラルドグリーンの外観

鮮やかな緑の壁に白い装飾が映える、ジョージタウンでも屈指のフォトジェニック建築。
世界遺産の街歩き」+「邸宅の色彩美」 を一枚で表現できる外観です。

中央アトリウム(吹き抜け)

邸宅の中心には光が差し込む 中庭(アトリウム) があり、周囲をバルコニーが囲むプラナカン建築の典型的構造。
ガラスの天窓や繊細な鉄細工が美しく、まるで当時にタイムスリップしたかのような雰囲気になります。

豪華な客間(レセプションホール)

西洋家具・中国装飾・ヴィクトリア調のシャンデリア。
「交易で得た富を、社交の場で見せる」 という植民地時代らしい価値観が、空間の隅々から伝わってきます。
緑の窓枠、タイル、ステンドグラス、鏡張り──色と光の演出がとにかく濃いです。

家族ダイニングルーム(Family Dining Room)

薄いミントグリーンの壁とタイル床が印象的な食堂エリア。
豪華なのに“生活の気配”が残る部屋で、展示の中でも特に「暮らしていた感」が強く出ます。

④ プラナカンの食器コレクション

プラナカン文化といえば、あの淡いピンクの陶磁器。
ただ可愛いだけではなく、当時の“豊かさ”を支えた交易ネットワークが背景にあります。

婚礼の間(Bridal Chamber / Wedding Room)

婚礼ベッドや金飾り家具が並ぶ空間は、祝福と繁栄の儀礼そのもの。
装飾の意味を知ると、ただの「豪華な部屋」ではなく、文化の核に触れる展示として見えてきます。

ラナカン・マンションの内部色彩は、単に華やかなだけでなく、
「富・繁栄・調和・家族・伝統・女性文化」 を色で語る装置のようになっています。

  • =祝福・繁栄(婚礼室に多い)
  • =富貴・格式(来客空間・祠堂)
  • =繁栄の継続・調和(玄関・応接)
  • 青/ターコイズ=外の世界・知性(衣装・陶器)
  • ピンク=女性性・優美(ニョニャ文化の象徴)
  • =清浄・調和(ベース色)
  • =権威・伝統(祠堂)
  • ブラウン=家系・安定(寝室・家具)こうした色を知ると、プラナカン建築の鑑賞が一段と深まります。

祖先祠堂

金箔の祭壇、龍と鳳凰の彫刻、位牌、家系図パネル。
プラナカン文化の根底にある 「家族・祖先」 への敬意が、最も濃く表れる場所です。
豪奢な展示の中で、ここだけ空気が少し静かになる感じがします。

チョンファッツィ・マンション(Cheong Fatt Tze, The Blue Mansion)

住所:14, Lebuh Leith, George Town, 10200 George Town, Pulau Pinang, マレーシア

時間 1日2回のガイドツアー
定休日 無休
料金 英語ガイドツアー:RM25 11:00~、14:00~、15:30~ 1日3回のガイドツアー
ツアーの事前予約は必要なく、開始時刻前に門の前で待機。
公式URL Cheong Fatt Tze Mansion: ブティック ヘリテージ ホテル。ジョージタウン、ペナン

ジョージタウンに残る最高峰のストレーツ華人邸宅。
青い豪邸として有名ですが、本質は色のインパクト以上に、風水思想×国際的建築技術×華人のステータス表現が重なった、
完成度の高い住宅建築にあります。

1990年代の修復後、2000年に UNESCOアジア太平洋文化遺産保存賞(優秀賞) を受賞。
さらに映画『インドシナ』のロケ地としても知られ、世界的にも“保存された文化遺産としての邸宅”という価値を獲得しています。

ブルーマンションが「青いだけじゃない」理由

チョンファッツィ・マンションが「青い豪邸」以上の価値を持つのは、
風水思想+国際的建築技術+華人のステータス表現 がすべて重なって建築されています。

■ 風水の採用ポイント

  • 屋敷は南向きで吉相
  • 中央に天井の開いた中庭(Sky Well)
  • 雨水=財(水は富の象徴)→ 中庭へ集めて“富が逃げない”
  • 左右対称性で吉相を強化
  • 気(Qi)を循環させるための回廊設計

静かなのに、どこか“流れ”を感じるのは、この思想が空間に落ちているからです。

■ 吉数で組まれた構造

  • 3つの中庭/5つのホール/38の部屋/7つの階段/220の窓
    数字にまで縁起を背負わせる発想が、富豪邸宅らしい徹底ぶりです。

■ 藍色(Indigo Blue)の意味

  • インディゴ染料が高価=富の象徴
  • 石灰壁に藍を混ぜて湿気対策=耐久性UP
  • 風水的に青は「水」の色=財運を補強

“映える色”というより、ちゃんと 意味のある青 なんですね。

見学のコツ

ツアー前に外観をじっくり:青の濃淡と影の出方が一番きれい
中庭は「雨水=財」を意識して見上げる:ただの吹き抜けが“思想の装置”に変わります
展示衣装は、所有者(Thong Siew Mee)の背景を知るとより面白い:“家”は建築だけでなく、そこに生きた人の物語で完成します。

2階部分は、吹き抜けになっています。
これも風水の考えで設計されているそうです。

ブルーマンション内に展示されている数々の衣装は、チョンファッツィーの義理の娘にあたるThong Siew Meeが
所有していたものだそうです。

2館をセットで巡ると、世界遺産が一気につながります。
世界遺産「マラッカ海峡の歴史的都市群」の中心・ジョージタウンを歩くなら、
この プラナカン・マンション と チョンファッツィ・マンション は、まさに“文化理解のショートカット”です。

プラナカン・マンション:装飾と色彩で体感する、生活文化の博物館
ブルーマンション:風水と構造で読み解く、建築としての完成形

プラナカン・マンションとチョンファッツィ・マンション。
2つの邸宅を巡ることで、ジョージタウンという街が、
歴史や文化を“暮らしの中で育ててきた”ことが、よりはっきりと見えてきます。

港から始まり、人が集い、信仰が根づき、
やがて生活の美として結実したジョージタウン。

世界遺産「マラッカ海峡の歴史的都市群」は、
建物の美しさだけで語られる場所ではありません。
そこには、今も人が暮らし、文化が続いているという、
静かで力強い魅力があります。

歩いて、感じて、少し立ち止まって。ジョージタウンは、
そんな旅のリズムがよく似合う街でした。

Wandering Traveler