ジョージタウンの中心部を歩いていると、
ほんの数分の間に、景色も音も香りも、がらりと変わっていきます。
真っ白な教会の静けさ、祈りの声が響くモスク、
色鮮やかなヒンドゥー寺院、線香の煙が立ちのぼる中国寺院。
ここでは、異なる宗教や文化が、
特別なことではなく日常として共に存在しています。
港町として多くの移民を受け入れてきたジョージタウンでは、
信仰は分け隔てるものではなく、それぞれが街を支える大切な一部でした。
このPartでは、教会・モスク・寺院・華人会館を巡りながら、
世界遺産が「共存のかたち」を今に伝えている理由を、街歩きとともに感じていきます。
2008年に世界文化遺産に登録
マラッカとジョージタウンは、600年以上にわたる東西交易の重要港として栄えました
マラッカは14世紀末に建国され、ポルトガル、オランダ、イギリスの支配を経験し、約400年前の町並みを今に残しています。
また、ジョージタウンは18世紀後半にイギリスの植民地として発展し、多民族文化の中心地となりました。
両都市には、コロニアル時代の建築物や、マレー、中国、インド、ヨーロッパの影響を受けた独自の建築群が残されており、
特にジョージタウンでは、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教の宗教施設が一つの通りに共存し、
多様な文化の調和を象徴しています。
住所:1, Lebuh Farquhar, George Town, 10200 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 10:00~16:00(一般訪問時間) |
| 料金 | 無料 |
| 定休日 | 金・土・日 |
セント・ジョージ教会は、1818年完成・東南アジア最古の英国国教会教会堂(Anglican Church)で
真っ白な外観とギリシャ風の列柱が印象的で、世界遺産エリアを象徴する静寂のランドマークです。
ペナンがイギリス東インド会社の重要拠点として発展していた時代、宗教施設として建設されました。
建設を主導したのは、当時の知事ウィリアム・フィリップス(William Phillips) です。
1941〜45年の日本軍占領期には爆撃などで損傷を受けましたが、戦後の1948年に大規模な修復が行われ、
現在の美しい姿が保たれています。
住所:Hindu Temple, Lebuh Queen, George Town, 10450 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 6:30~12:00、18:00~21:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 無料 |
マハ・マリアマン寺院(Sri Mahamariamman Temple) は、ペナン最古のヒンドゥー寺院(1833年創建)です。
極彩色の神々の彫刻がびっしりと並ぶゴープラム(塔門)が圧巻で、ステンドグラスのように鮮やかな色彩が
旅人を魅了するジョージタウンの多文化共存を象徴する代表的スポットです。
1833年創建、ペナン最古のヒンドゥー教寺院で、南インドから移住してきたタミル系コミュニティによって
建てられた寺院で、女神 マリアマン(雨・健康・守護を司る女神) を祀っています。
1930年代の改築で現在の豪華な姿に特にゴープラム(塔門)は1930年代に現在の形へ拡張され、
約40体を超えるヒンドゥー神話の神々や精霊の装飾で彩られています。
住所:14, Jln Buckingham, George Town, 10200 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 11:30~18:00 金曜:12:00~15:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 無料 |
カピタン・クリン・モスクは、1801年創建・ペナン最古級のイスラム寺院です。
ムガール建築風のドームとミナレット(尖塔)が特徴的で、ジョージタウンの多宗教都市を象徴する代表的なモスク。
このモスクは、19世紀初頭にペナンへ移住した南インドのムスリム商人コミュニティ(ケリン人) によって建てられました。
“Kapitan Keling(カピタン・ケリン)”とは当時のインド系ムスリムのリーダーを指す名称で、
コミュニティを取りまとめた人物が建立に関わっています。
創建当時はシンプルな構造でしたが、20世紀に入り、現在の立派なドーム・回廊・中庭を備えた
ムガール様式建築へと拡張されました。
観光客もマナーを守れば内部の一部見学が可能という貴重なスポットです。
インパクト十分なミナレットです。
住所:18, Cannon Square, George Town, 10450 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 9:00~17:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 大人:RM10 子供(5~12歳)RM1 |
クー・コンシー(Khoo Kongsi) は、ペナン島ジョージタウンにある華人系一族「クー(Khoo)氏」の宗祠(一族の会館)です。
1906年に完成した壮麗な中国南方建築は、“まるで宮殿のようだ” と評されるほど精巧で、
ジョージタウンに残る華人コミュニティ文化の最高峰とされています。
ペナンに移住した華人・クー氏一族が一族の団結と繁栄のために建てた宗祠(コンシー)で、
もともと1850年代に建設されたものを基盤としています。
1901年に原因不明の火災でほぼ焼失しましたが、その後 1906年に極めて豪華な中国南方寺院様式で再建されました。
再建後の建物は一族の繁栄を象徴するものとなり、華人文化の粋が詰まった“最高傑作”とされています。
屋根の装飾も大変綺麗でインドと中国の様式が混在しています。
金色の飾りと赤い装飾がとても豪華な印象を与えます。
個人的には、ホイアンの寺院を思い出しました。
祖先を祀る霊廟という感じです。
また、1階には、クー(邱一族)の歴史がわかる展示がされています。
邱一族がペナンに渡り、祖先を祀り一族が集う場所として築き上げたものがクーコンシーになります。
住所:30, Jln Masjid Kapitan Keling, George Town, 10200 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 9:00~15:00 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 無料 |
観音寺(クアン・イン・テンプル)は、1728年建立・ペナン最古の中国寺院で、
「観音菩薩(慈悲の女神)」を祀る寺院として、華人コミュニティの精神的な中心となってきました。
朝から線香の煙が立ちのぼり、地元信者が絶えず参拝に訪れる生きた信仰の場で、
観光地でありながら厳かな空気をまとう重要な歴史スポットです。
この寺院で、ペナンに渡った 福建(Hokkien)系移民 によって建立され、当初は観音菩薩のみを祀っていましたが、
のちに道教の神々や他の仏教系の護法神も加えられ、多神的な信仰空間として発展しました。
1800年代に2度の火災があったものの、そのたびに寄付によって再建され、地域コミュニティに
深く根付いた寺院であることが分かります。
こちらが、観音像です。
たくさんの華僑の人達がお参りをしていました。
住所:132, Lbh Chulia, George Town, 10200 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 不明 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 無料 |
この寺院は、潮州(Teochew)系華人コミュニティの宗祠(会館)です。
南中国・潮州(広東省東部)出身の移民たちが19世紀に形成した一族・同郷組織で、
地域の相互扶助、祭祀、社会活動の中心として長く機能してきました。
豪華な木彫り装飾や、潮州文化特有の繊細なデザインが特徴で、観光地としては比較的静かで通好みのスポットでもあります。
異なる宗教や文化が、無理に混ざり合うことも、
距離を置きすぎることもなく、同じ街の中で自然に息づいている。
ジョージタウンを歩いていると、そんな風景が特別なものではなく、
ごく当たり前の日常として続いてきたことが分かります。
祈りの場所は違っても、人々は同じ通りを行き交い、
同じ港を見つめ、同じ街で暮らしてきました。
そして、その暮らしの中から生まれたのが、
文化と美意識が結晶したプラナカン文化です。
次のPartでは、華人富豪たちの邸宅を訪ねながら、
ジョージタウンの世界遺産が「暮らしの中で受け継がれてきた理由」を見ていきます。