マラッカ海峡に面した港町、ジョージタウン。
海を渡ってきた人や文化が出会い、混ざり合いながら育ってきたこの街は、
歩けば歩くほど、いくつもの物語が顔をのぞかせてくれます。
マラッカ海峡を望む海沿いを歩くと、
ジョージタウンという街が、どこから始まったのかが自然と見えてきます。
白いコロニアル建築が並ぶエスプラネード、海を背に構えるコーンウォリス要塞、
静かに時を刻む時計台や市庁舎。
この一帯は、18世紀後半にイギリス東インド会社が拠点を築き、港町ペナンが動き出した原点の場所です。
ここで感じられるのは、派手さよりも、港を守り、街を形づくっていった人々の足跡。
要塞の大砲や灯台を眺めていると、交易船が行き交っていた時代の空気が、
今も海風に混じって流れているように感じられます。
まずはこの海沿いエリアから、世界遺産・ジョージタウン散策を始めてみましょう。
2008年に世界文化遺産に登録
マラッカとジョージタウンは、600年以上にわたり東西交易を支えた重要な港町として栄えてきました。
マラッカは14世紀末に建国され、ポルトガル・オランダ・イギリスと支配者が移り変わる中で、
約400年前の町並みを今も色濃く残しています。
一方、ジョージタウンは18世紀後半、イギリス植民地として発展。
マレー系、中国系、インド系、ヨーロッパ系が共存する多民族文化の中心地となりました。
特にジョージタウンでは、キリスト教・イスラム教・ヒンドゥー教の宗教施設が同じ通りに並ぶという、
他ではなかなか見られない景観が広がり、「多様な文化が衝突せず共存してきた街」であることを実感できます。
住所:Jalan Tun Syed Sheh Barakbah, George Town, 10200 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 9:00~19:00 |
| 料金 | 大人:RM20 子供:RM10 |
| 定休日 | 無休 |
コーンウォリス要塞は、18世紀末のイギリス植民地時代に築かれた要塞で、ペナン島最古の建造物のひとつとして知られています。
ジョージタウン世界遺産エリアの北端、海沿いに位置し、ペナンを拠点とした イギリス東インド会社支配の象徴的存在 です。
要塞の歴史は、1786年、イギリス東インド会社の フランシス・ライト船長 がペナン島に上陸したところから始まります。
その際、最初に拠点とした場所に築かれたのが、この要塞でした。
当初は木造の簡易防御砦でしたが、治安維持・貿易拠点の防衛・海賊や他国勢力への備えといった目的から、徐々に強化されていきます。19世紀にはレンガと石による本格的な要塞へ改築され、現在見られる星形に近い城壁構造が完成しました。
意外にも、この要塞は 一度も本格的な戦闘を経験していません。
主に行政・通信・防衛の拠点として機能していました。
要塞名は、当時のインド総督 チャールズ・コーンウォリス卿 に由来しています。
※2025年5月現在、要塞内の一部(②③④エリア)は工事中で見学不可。
チケット払ってここから入場します。
19世紀のイギリス植民地時代に造られたこの灯台は、ペナン港へ出入りする船を誘導するために設置されたもので、
当時の航海インフラがそのまま残る ペナン最古級の灯台遺構となっています。
現在は観光客が写真を撮る人気スポットで、白い外観と海風の雰囲気が ジョージタウンらしい情緒を感じさせてくれます。
ペナン島ジョージタウンの北端、コーンウォリス要塞(Fort Cornwallis)沿いに伸びる海側の通りの愛称です。
その名のとおり、かつてこの通り一帯は要塞の城壁上にズラリと大砲が並んでいた防衛ラインで、
ジョージタウンを守る重要な沿岸防衛の拠点でもありました。
要塞を守っていた 3人のイギリス兵士を模した立像やシルエットパネル が並び、
来場者が一緒に立って記念写真を撮れる“映えスポット”として人気があります。
セリ・ランバイ大砲(Seri Rambai Cannon) は、ペナン島ジョージタウンの コーンウォリス要塞(Fort Cornwallis) に
展示されている、最も有名かつ歴史的価値の高い大砲です。
1603年に オランダ領東インド会社(VOC) で鋳造されたとされ、“東南アジアを渡り歩いた伝説の大砲” として知られています。
長さは約3m以上あり、装飾が施された重厚な姿が特徴。
現在は要塞の海側付近に単独で置かれ、観光客が必ず立ち寄る象徴的スポットになっています。
セリ・ランバイ大砲には有名な地元伝説があります。
「この大砲に触れると、子宝に恵まれる」
特に女性が大砲の前に立ち、触れながら祈ると妊娠に良いという民間信仰が伝わっています。
これはアチェ時代から続く伝説とも言われ、大砲の胴体には装飾模様があり、
その「女性的な象徴」と結びつけられたとも考えられています。
観光客の多くが写真を撮る理由の一つにもなっています。
Gunpowder Room(ガンパウダールーム/弾薬庫) は、ペナン島ジョージタウンの
コーンウォリス要塞(Fort Cornwallis) 内に残る18〜19世紀の火薬貯蔵庫です。
要塞の中でも特に軍事的に重要な区画で、大砲を発射するための 火薬・弾薬を安全に保管していた部屋 です。
厚い壁と小さな通気口を持ち、火薬が湿気ないように、そして爆発の危険を最小限に抑えるように設計されています。
中央には、ステージがありました。
なにかイベントの時に使用されるそうです。
住所:Lebuh Light, George Town, 10450 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
| 時間 | 24時間 |
| 定休日 | 無休 |
| 料金 | 無料 |
ビクトリア・メモリアル時計台 は、ペナン島ジョージタウンの海沿い、
エスプラネード(Padang Kota Lama)エリアに立つ高さ60フィート(約18m)の記念時計台です。
1897年に建設されたこの塔は、イギリスの ヴィクトリア女王の在位60周年(ダイヤモンド・ジュビリー) を祝うために
地元の富豪チョン・クン・ケング(Cheah Chen Eok)によって寄贈されました。
ジョージタウンのコロニアル建築を象徴するランドマークの一つで、コーンウォリス要塞からも徒歩数分という好立地にあります。
大戦中、近くで爆発があった際の衝撃で塔がわずかに傾いたとされ、現在も 1〜2度ほど“軽く傾いている時計台 として知られています。
(ピサの斜塔ほどではないが、写真で分かる程度の微傾斜)
住所:Jalan Padang Kota Lama, George Town, 10450 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
シティーホール(City Hall) は、ペナン島ジョージタウンのエスプラネード沿いに立つ
壮麗な白亜のコロニアル建築で、ペナン州で最も象徴的な行政建築のひとつです。
1903年に完成し、当時の 英国行政の中心施設 として使用されていました。
現在もペナン市の行政関連行事や公式イベントが行われる、“現役の歴史建造物”として活躍しています。
シティーホールは、急速に発展するペナンの行政機能を担うために建てられた 市庁舎 で、
当時の英国建築技術と美意識を反映した壮麗なデザインが特徴です。
建設スタイルは イギリスのエドワード朝様式(Edwardian Baroque) をベースにしており、
アーチ・コリント柱・バルコニー装飾などが荘厳さを演出しています。
2008年に世界遺産に登録された際、ジョージタウンの“植民地行政の象徴”として
重要な構成要素の一つと評価されています。
住所:LOT 70, Jalan Padang Kota Lama, SEKSYEN 19, 10200 George Town, Pulau Pinang, マレーシア
タウンホール(Town Hall) は、ペナン島ジョージタウンのエスプラネード沿いに立つ
1870年代建設の歴史的コロニアル建築で、ペナン最古級の公共ホールとして知られています。
隣に建つ「シティーホール(City Hall)」より古く、イギリス植民地時代の社交場・集会所・行政ホール として利用されてきました。
エスプラネード(Padang Kota Lama)地区に立つ第一次世界大戦・第二次世界大戦の戦没者を追悼する記念碑です。
コーンウォリス要塞と海沿いの建物を歩いていると、
ジョージタウンという街が、「港から生まれた都市」だということが静かに伝わってきます。
海を守るための要塞、行政を担った市庁舎、時を刻み続ける時計台。
この場所には、華やかさよりも、街を支えてきた人々の積み重ねが残されています。
けれど、港が街を育てたのは、建物だけではありません。
船とともにやってきた人々が、信仰や文化を持ち込み、
ジョージタウンは次第に“多様な顔”を持つ街へと変わっていきました。
次は、教会・モスク・寺院が並ぶ通りを歩きながら、この街ならではの共存の風景に触れていきます。